物権(法定地上権)1

AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Aは、その建物上に甲抵当権を設定したが、Bから土地を取得した後に、さらにその建物に乙抵当権を設定した。その後、Aは、甲抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、甲抵当権が実行され、その建物は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。(平成23年出題)

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【解答】NO

 

まず、法定地上権の成立要件を確認しましょう。

法定地上権の成立要件は、次の4つです。

1.抵当権設定時に土地上に建物が存在すること

2.抵当権設定時に土地と建物が同一所有者に帰属していること

3.土地又は建物に抵当権が設定されること

4.抵当権実行により土地・建物が異なる所有者に帰属すること

 

設問の状況を見ていくと、1、3、4の要件は満たしていることが簡単に分かりますが、2の要件については、少し考える必要が出てきそうです。
つまり、甲抵当権を設定した時点では、土地と建物の所有者が異なり、乙抵当権を設定した時点では、土地と建物の所有者は同一ということになります。

この場合に似た事案の判例を紹介しましょう。

最高裁大法廷昭和14年7月26日の判例では、

建物を目的とする一番抵当権設定時に法定地上権成立要件の一つである「抵当権設定当時に土地と建物とが同一所有者に属していること」を満たしていなくても、二番抵当権設定時に当該要件を満たしていれば、抵当権が実行されたときは、その建物のために法定地上権が成立する――としています。

したがって、建物のために法定地上権は成立することになり、設問の解答はNOです。

 

なお、土地を目的とした抵当権の場合には、結論が異なります。

最高裁平成2年1月22日の判例では、
土地を目的とする一番抵当権設定時に法定地上権成立要件の一つである「抵当権設定当時に土地と建物とが同一所有者に属していること」を満たしていない場合二番抵当権設定時に当該要件を満たしていても、抵当権が実行されたときは、その建物のために法定地上権は成立しない――としています。

 

抵当権の目的物が、土地と建物で結論が違うのはなぜでしょう?

その理由は、一番抵当権者の保護を重視しているからです。
つまり、土地の場合、一番抵当権者は、法定地上権が成立しないことを前提として、土地の担保価値を評価しているので、後から法定地上権を認めるとその価値が下がってしまいます。
一方、建物の場合は、一番抵当権者は、法定地上権が成立しないことを前提に担保価値を実際より低く評価しているので、後から法定地上権が認められると価値が上がることはあっても、下がることはないのです。

目的物が「土地」か「建物」か――注意してください。

 

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