行政救済法(損失補償)1

国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。(平成23年出題)

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【解答】YES

 

損失補償とは、適法な公権力の行使によって損なわれた特別の犠牲を金銭等によって補償する制度です。損失補償は、憲法29条3項で「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と規定していることが根拠となっています。

 

さて、設問の「国道の改築工事により違法となったガソリンタンクの移設にかかる費用」が損失補償の対象となるか否かについての判例を紹介します。昭和58年2月18日の最高裁の判例です。

 

まず、道路法70条1項の定める損失の補償の対象について、道路工事の施行による土地の形状の変更を直接の原因として生じた隣接地の用益又は管理上の障害を除去するためにやむを得ない必要があってした前記工作物(当該道路の従前の形状に応じて設置されていた通路、みぞ、かき、さくその他これに類する工作物)の新築、増築、修繕若しくは移転又は切土若しくは盛土の工事に起因する損失に限られると解するのが相当――としています。

したがって、警察法規が一定の危険物の保管場所等について保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことなどを内容とする技術上の基準を定めている場合に、道路工事の施行の結果、警察違反の状態を生じ、危険物の保有者が技術上の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされ、これによって損失を被ったとしても、それは道路工事の施行で警察規制に基づく損失がたまたま現実化するに至ったものにすぎず、このような損失は、道路法70条1項の定める補償の対象には属しないものと――と解しています。

 

道路法70条1項

土地収用法第93条第1項 の規定による場合の外、道路を新設し、又は改築したことに因り、当該道路に面する土地について、通路、みぞ、かき、さくその他の工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は切土若しくは盛土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、道路管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、道路管理者又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて、道路管理者が当該工事を行うことを要求することができる。

そして、設問の場合は、道路工事の施行に伴い、ガソリンの地下貯蔵タンクの設置状況が消防法10条、12条、危険物の規制に関する政令13条、危険物の規制に関する規則23条の定める技術上の基準に適合しなくなって警察違反の状態を生じたことにほかならない――としています。

つまり、設問記述のとおり、道路法で定める損失補償の範囲には含まれないので、解答はYESです。

 

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損失補償については、第139回「損失補償」を確認してください。

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