総則(代理制度)3

代理人は与えられた権限の範囲で本人のために法律行為を行うのであるから、権限を逸脱して法律行為を行った場合には、それが有効となる余地はないのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達するのであるから、本人の真意と異なる意思を伝達した場合であってもその意思表示が無効となる余地はない。(平成24年出題)
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【解答】NO

 

代理人は与えられた権限の範囲で本人のために法律行為を行うことが、原則です。代理の要件のひとつでしたね。

 

しかし、権限を逸脱して法律行為を行った場合も有効となる場合があります。

 

まず、本人が追認した場合です。民法116条の規定を見てみましょう。

 

民法116条

(無権代理行為の)追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 

つまり、本人が追認すれば、代理人の権限の範囲外の法律行為も契約時から有効となります。

 

また、権限の範囲を超えた法律行為の場合に表見代理が成立する場合もあります。民法110条の規定です。

 

民法110条

前条本文の規定(代理権授与の表示による表見代理)は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

 

つまり、相手方が代理人の権限外の法律行為とまったく知らなかった場合は、その法律行為は有効となり得るのです。

 

以上のことから、設問の「有効となる余地はない」とする記述は間違っていることになります。

 

なお、使者の場合は、本人の意思と異なる意思を伝達した場合は、錯誤(民法第95条)の問題となるという判例【大判大9.5.4】があります。

 

民法95条

意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

 

もっとも、すべての場合に錯誤を認めてしまうと、相手方の保護が図れない場合があることから、本人側の事情と相手方保護の必要性のバランスを考え、表見代理(民法110条)の問題とすべきだ――とする学説も存在します。

いずれにしろ、「無効となる余地はない」との記述はNOということになります。

 

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第55回「代理と代理人の権限」第56回「無権代理と表見代理」を参照してください。

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