第164回 国際政治

  政治の分野の最後は、国際政治について、①国際連合、②核軍縮など、③人権問題――と見ていきます。

行政書士講座

Ⅰ.国際連合

  国際連合は、1945年4月、サンフランシスコ会議で国連憲章が採択され、同年10月に加盟国51カ国で誕生したアメリカ合衆国ニューヨークに本部を置く国際機関です。

  国際連合の設立の目的は、①政界の平和および安全を維持推進すること、②経済的・社会的・文化的・人道的な国際協力を推進すること――です。1920年に発足した国際連盟がすべての大国を包含することができず、全会一致の原則の採用による実効性ある決議の欠落などが原因で、結果的に第二次世界大戦の勃発を止めることができなかったことの反省から、大国を中心とするすべての国々の協力と協調を前提として形成されています。

  日本は、1956年10月の日ソ国交回復共同宣言を経て、同年12月、国際連合に加盟しました。

  次に、国際連盟と国際連合を併記しますので、その違いに注意しながら確認しましょう。

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  次は、国際連合の機能と組織を詳しく見ていくことにします。国際連合の主要機関は、①総会、②安全保障理事会、③経済社会理事会、④信託統治理事会、⑤事務局、⑥国際司法裁判所(ICJ)――です。主要機関の下に各種委員会等の補助機関が設置されています。その他の常設的補助機関として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、国連貿易開発会議(UNCTAD)などがあります。さらに国連システム内に国連本体とは別の国際機関である専門機関があります。 

  主要機関である①総会は、全加盟国で構成され国連の中心です。通常総会が毎年9月に開催されるほか、安全保障事理国の要請または加盟国の過半数の要請に応じて特別総会が開催されることもあります。投票権は1国1票で、重要事項は3分の2以上、その他は過半数で決議されます。なお、重要事項とは、平和と安全に関する勧告、新加盟国の承認・除名、予算および理事国の選挙――などです。

  ②の安全保障理事会は、国際平和と安全の維持に主要な責任を負い、安全保障問題に関して総会に優越した権限を持ちます。つまり、全加盟国は安全保障理事国の決定を受入れ、実行しなければなりません。安全保障理事会の主な機能および権限は、a紛争の解決条件の勧告、b侵略防止のための経済制裁の要請、c侵略に対する軍事行動、d新加盟国の承認の勧告――など多岐にわたります。

安全保障理事会は、拒否権を有するアメリカ・イギリス・フランス・ソ連・中国の5常任理事国と、任期2年の非常任理事国(総会選出の10カ国)で構成されています。議事の手続事項は9カ国の賛成、実質事項は5常任理事国のすべてを含む9カ国の賛成で決議されます。なお、実質事項の表決の際の常任理事国の反対投票を拒否権行使と言い、これにより議案は否決されます。

  ③の経済社会理事会は、経済的および社会的国際協力に関して、国連の任務を遂行する機関で、国連総会で選出された54カ国で構成されています。

  ④の事務局は、国連の各機関の運営に関する事務を担当する機関です。その長である事務総長は、任期5年で、国連総会の招集、各機関の運営その他の政治的権能を有しています。

  ⑤の専門機関は、特定分野で活動する国連の外に置かれた独立の機関です。代表的のものとして、a国際通貨基金(IMF→国際通貨に関する協議、為替の安定等を行う)、b国際復興開発銀行(IBRD→開発途上国の経済構造改革のための融資を主要な業務とする)、c国際労働機関(ILO→労働条件改善を国際的に実現することを目的とする)、d世界保健機関(WHO→世界各国民の健康の保持・向上を目的とする)、e国連教育科学文化機関(UNESCO→教育・科学・文化面を通じた国際間協力を促進し、平和貢献を図る)――などがあります。

  ⑥の国際司法裁判所は、国家間の紛争の司法的解決を行う機関で、本部がオランダのハーグに置かれ、国際労働機関(ILO)とともに前身の国際連盟時代から存在していた機関です。紛争当事国は本裁判所に事件を付託しますが、原則として当事国の双方が付託に同意しないと裁判を行うことはできません。国際司法裁判所の司法的解決には拘束力があり、相手国の不履行に対して安全保障理事会に訴え、実効を促す勧告・措置を求めることができます。なお、国連に未加盟の国も当事国になることが認められていますし、総会からの諮問に応じて、法律的に勧告的意見を示すこともできます。

  次に具体的な国連などを中心とする諸活動について、①PKO(Peace Keeping Operation=国連平和維持活動)、②NGO(非政府組織)、③NPO(民間非営利組織)――と見ていくことにします。

  ①のPKOは、地域紛争の停戦維持や紛争拡大の防止、公正な選挙の確保のために行われる国連の活動です。国連憲章には規定がなく、国連安全保障理事会の決議によって行われます。代表的な活動は、1992年の国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)で、停戦・武装解除の監視に加え、治安の維持・選挙の実施・行政の監視等など、広範囲な任務を担っていました。

  また、紛争地域における交戦部隊引き離しや治安維持を目的に、交渉・説得・監視・調査権限を有する国連平和維持軍(PKF)の派遣を行うこともあります。このほか、停戦実現後に停戦違反の有無を調査・監視する停戦監視団や、選挙の不正や妨害を監視する選挙監視団の派遣も行います。

  これに対して、我が国でも1992年、PKO協力法が制定され、下記の参加5原則を守ったうえでのPKO活動を行っています。

a停戦合意の存在

b受け入れ国の同意

c中立的な立場での活動

d①~③の要件が満たされていない場合の活動停止

e自衛のための必要最小限の武器使用

  次に、これまでのPKO協力法の改正点を下表で確認してください。

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  ②のNGOとは、国連のような政府間国際組織ではなく、国家とは直接関係ない民間交流の非政府組織のことです。NGOは、軍縮問題・人権問題・環境問題など、主に国家利益を超えた人類に共通した分野で活躍し、人権保障のための国際世論の啓発を行います。NGOの例としては、アムネスティー・インターナショナル(国際法に則って、死刑の廃止、人権擁護、難民救済など良心の囚人を救済、支援する活動を行っている)、国際赤十字、国境なき医師団――などが挙げられます。

  ③のNPOとは、営利を目的としない民間団体の総称です。日本では、1998年にNPO法(特定非営利活動促進法)が成立し、NPOは公益法人よりも穏やかな条件で法人格を所得できます。また、NPO活動の一層の発展を図る目的で2002年に改正が行われ、NPO活動の種類が12分野から17分野に増えるとともに設立認証の申請手続が簡素化、寄付金控除等の課税の特例が認められました。

 

Ⅱ.核軍縮など

  第二次世界大戦後に各国で行われた核実験は地球破壊の不安を広げたため、核兵器の撤廃・軍縮を求める機運が高まりました。1992年のキューバ危機の後、米ソ間にホットライン(緊急通信線)が設置されたほか、1963年に米ソ主導の、部分的核実験禁止条約(PTBT)が締結された以降、核軍縮の方向に進んでいたものの、近年では、イランや北朝鮮の核問題等、核軍縮を揺るがす問題も発生しています。

  第二次成果大戦後の核軍縮等の流れを一覧にまとめましたので、確認してください。

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Ⅲ.人権問題

  第二次世界大戦時におけるファシズムによる人権抑制や戦争の悲惨さを教訓に、戦後、国際連合を中心に国際平和の維持と国際協力による人権の尊重への取り組みが続けられています。

  国際連合は、社会的弱者やマイノリティー(社会的少数者)の人権擁護・拡充に先導的な役割を果たしていて、国際的な活動として人権条約の締結を推進しています。おもな人権条約を下表にまとめましたので、参考にしてください。

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