第157回 株式会社以外の機関~その2

  今回は、株式会社の機関のうち、①監査役、②監査役会、③会計監査人、④委員会設置会社――について勉強しましょう。

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Ⅰ.監査役

  監査役とは、取締役(会計参与を含む)の職務執行を監査し、監査報告を作成する機関です。公開会社では、多数の利害関係者を保護するために、監査役を置かねばなりません。

1.監査役の選任・終任

  監査役は、取締役が、監査役の同意を得て監査役選任議案を株主総会に提出し、株主総会の普通決議で選任します。定足数は、定款で定めることができますが、総株主の議決権の3分の1未満にはできません。また、監査役は、監査役の選任を株主総会の議題としたり、監査役選任議案を株主総会に提出することを、取締役に請求できます。さらに、株主総会で監査役の選任について意見を述べることもできます。

  監査役の員数は、1人でも数人でもOKですが、法人や成年被後見人・被保佐人などは、監査役にはなれません。そのほか、公開会社では、定款で定めても被選資格を株主に限定することはできないなど、取締役と同様の制限があります。

  監査役の終任は、①任期満了、②解任――が主なもので、このほか、③辞任、④民法の定める契約の終了事由、欠格事由の発生――でも終任します。

  公開会社の監査役の任期は、原則として4年です。取締役の2年より長い点に注意してください。これに対し、非公開会社の監査役の任期は10年まで延長できるのは、取締役と同様です。

  監査役の解任は株主総会の特別決議で行われます。これも取締役のように普通決議でない点がポイントです。正当な理由なく解任した場合は、会社に損害賠償責任が生じます。また、不正行為などがあったにもかかわらず、解任決議が否決された場合は、株主は裁判所に解任の訴えを提起できます。

  監査役は株主総会で、解任についての意見を述べることも可能ですし、辞任後に最初に開かれる株主総会に出席して、辞任した旨とその理由を述べることも可能です。

2.監査役の権限

  監査役は、原則として、①業務監査権限、②会計監査権限――を有します。

  ①の業務監査権限とは、取締役や会計参与の職務執行について監督・監査行うことができるものです。取締役や会計参与の職務執行については、取締役会が監督するのが本来ですが、取締役会を構成する取締役同士の馴れ合いで、不十分になってしまうおそれがあることから、監査役に権限を与えることができるのです。

ただし、監査役会設置会社や会計監査人設置会社ではない非公開会社では、監査役の権限を定款で会計監査権限のみに限定することができます。この場合、監査役が存在しても監査役設置会社とは言わないことに注意してください。

  ②の監査役の会計監査のなかで、最も重要なのは、定時株主総会に提出される決算の監査です。監査役は、取締役の提出した計算書類・事業報告および附属明細書について監査報告書を作成する権限を持ちます。

  監査役の具体的な権限は、下表のとおりです。

商法157-1

  監査役は、取締役の業務執行を適正で公正なものにするための機関ですから、独立性を確保する必要があります。監査役の独任制を確保する制度には次のようなものがあります。

商法157-2

 

Ⅱ.監査役会

  監査役会とは、監査役全員によって構成され、監査報告の作成、監査方針の決定などを行う機関です。各監査役の役割分担を容易にして、情報の共有を可能にすることで、組織的で効率的な監査ができるよう制度化されました。委員会設置会社以外の大会社で公開会社は、監査役会を置かなければなりません。

  監査役会設置会社では、監査役は3人以上で、半数以上が社外監査役でなければなりません。社外監査役とは、過去に当該株式会社またはその子会社の取締役・会計参与・執行役・支配人・その他の使用人になったことがない者です。

  また、監査役会は、監査役の中から、当該株式会社の営業時間中その職務に専念する常勤監査役を選定しなければなりません。

  監査役会には、監査報告の作成、常勤監査役の選定・解職、監査方針・会社の業務財産状況の調査方法などの決定などの権限があります。監査役会では多数決が妥当するため、少数派の意見が反映されないおそれもあります。そこで、監査役会制度の存在を前提としつつ、各監査役の権限行使は妨げられないという規定が会社法にはあります。

 

Ⅲ.会計監査人

  会計監査人とは、計算書類などの監査をして、会計監査報告を作成する者のことです。大会社および委員会設置会社(後述)は、会計監査人を置かなければなりません。

  会計監査人の選任は株主総会の普通決議で行われ、公認会計士または監査法人でないとなることができません。また、任期は1年です。

  会計監査人は、会社の計算書類および附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類を監査し、その監査について、会計監査報告を作成する義務があります。また、会計監査人はいつでも、会計帳簿やこれに関する資料の閲覧・謄写をし、取締役・会計参与および支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることが可能です。また、子会社に対しても会計に関する報告を求め、会社や子会社の業務や財産の状況の調査を行うことができます。

  会計監査人が、その職務を行うに際して、取締役の職務の執行に関して不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実を発見したときは、遅滞なく監査役(監査役会)に報告しなければなりません。

 

Ⅳ.委員会設置会社

  委員会設置会社とは、①指名委員会、②監査委員会、③報酬委員会――の3つの委員会を置く会社です。平成14年の法改正によって導入された、アメリカ型の会社経営システムで、現実には多くの大企業が採用しています。

  委員会設置の目的は、執行役に業務執行権限を大幅に委譲して、経営の合理化・迅速化を図るとともに、取締役会による業務執行監督を強化することにあります。

  委員会設置会社においては、取締役会の役割は、基本事項の決定と委員会の委員および執行役の選任などの監督機能が中心となり、三委員会が、監査・監督という企業統治の重要な位置を占めます。

  委員会設置会社では監査役を設置することはできず、監査委員がその役割を果たします。委員会設置会社には、①三委員会、②執行役、③取締役会、④会計監査人――が置かれます。また、監督と執行が制度的に分離され、業務執行は執行役が担当するので、取締役は原則として業務執行はできません。さらに、会社を代表する者は代表執行役です。では、各機関を順に見ていきましょう。

  委員会設置会社における取締役の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでです。取締役は、原則として業務執行をすることはできず、支配人その他の使用人を兼任することもできません。

取締役会の権限は、原則として、a経営の基本事項の決定、b委員会の委員の選定・解職、c執行役の選任・解任――などに限定されます。

  ところで、三委員会である指名委員会、監査委員会、報酬委員会の各委員会は、取締役の中から取締役会決議で選定した3人以上の委員で組織され、その過半数は社外取締役とされています。

指名委員会では、株主総会に提出する取締役および会計参与の選任・解任に関する議案の内容を決定します。

監査委員会では、執行役などの職務執行の監査および監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任・解任および再任しないことに関する議案の内容を決定します。

報酬委員会では、執行役などの個人別の報酬などの内容を決定します。執行役が支配人その他の使用人を兼任しているときは、当該支配人その他の使用人の報酬等についても決定します。

  なお、各委員会の比較を下表に示しますので、確認してください。

商法157-3

  最後に執行役と代表執行役についてです。

  執行役は、取締役会の決議により委任を受けた業務執行の決定をし、実際に業務を執行します。執行役は、取締役会で選任され、いつでも取締役会で解任することができます。任期は原則として、選任後1年以内に終了する事業年度の内の最終のものに関する定時株主総会の終結後、最初に招集される取締役会の終結のときまでです。

  代表執行役は、執行役の中から選定された委員会設置会社を代表する機関です。取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければなりませんが、執行役が1人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとされます。代表執行役の解職も取締役会の決議でいつでも行えます。

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