第153回 株式とは~その3

  株式についていろいろ勉強してきましたが、今回がその最終回です。

1株の単位である出資単位の調整について、①出資単位の決定と変更、②株式の消却、併合、分割、無償割当て、③単位株制度、④利益供与の禁止――の順で解説します。

行政諸講座

Ⅰ.出資単位の決定と変更

  会社法では、出資単位をいくらとするかについて、各会社が自由に決定してよいとしています。

  出資単位が大きい場合のメリットは株主管理コストとの均衡がとれること、デメリットは零細な資本しか持たない者は出資できないこと、株式の流通性が低いことです。

一方、出資単位が小さい場合のメリットは零細な資本しか融資ない者も出資できること、株式の流通性が高いこと、デメリットは株主管理コストとの均衡が取れないこと――と、両者のメリット・デメリットが真逆になります。

  出資単位は次の数式で表せますので、出資単位を大きくするには会社の財産を減らさずに発行済株式総数を減らし、出資単位を小さくするには会社の財産を増やさずに発行済株式総数を増やせばいいのです。具体的な方法は次のⅡの項で解説します。

商法153-1

  また、1株の価値は大きくせず、いくつかの株式をまとめて1単元として、1単元の株式に1個の議決権を与える単元株制度を採用して出資額を大きくすることも可能です。Ⅲ項で詳しく解説します。

 

Ⅱ.株式の消却、併合、分割、無償割当て

  上記で説明したように、出資単位の調節は自由にできますが、その方法を

①株式消却

②株式併合

③株式分割

④株式無償割当――の順に勉強しましょう。

商法153-2

  ①の株式消却とは、会社が存続中に特定の自己株式を絶対的に消滅させ、発行株式総数を減少させる行為です。取締役会非設置会社(後述します)では取締役が、取締役会設置会社では取締役会が決定します。

  ②の株式併合とは、複数の株式を合わせて発行済株式総数を減少させる行為で、株式消却が会社の自己株式のみについて行われるのに対し、全株式について一律に行われます。
株式併合は、株主管理コストを抑える、株式単位の適正化を図る目的でなされますが、併合の倍率によっては、少数の株式しか持たない株主が株主としての地位を失うこともあり得るので、取締役は、株主総会で株式の併合が必要な理由を説明し、特別決議による必要があります。
特別決議とは、原則として、株主総会において議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席で、出席した株主の議決権の3分の2以上に当たる多数を持って行われる決議のことです。なお、定款で定足数や議決数を別に定めている場合にはそれに従います。

  ③の株式分割とは、既存株式を細分化して発行済株式総数を増加させる会社の行為で、株式の市場コストを下げ、取引をしやすくして流通性を高める目的でなされます。
株式分割は既存株主の利益に実質的に影響しないので、株主総会の普通決議によって行います。また、取締役会設置会社においては取締役会の決議で行います。

  ④の株式無償割当とは、発行済株式総数を増加させる目的で、既存株主に対し、新たな払込みをさせないで株式の割当を行う会社の行為です。
定款に別段の定めがない限り、その都度株主総会の普通決議(取締役会設置会社では取締役会決議)によって行います。

  株式分割と株式無償割当の違いは、

a株式分割は同一の種類の株式の数が増加するのに対し、株式無償割当は同一または異なる種類の株式を割当てることが可能

b株式分割は自己株式の数も増加するのに対し、株式無償割当は自己株式には割当が生じない、

c株式分割は自己株式の交付は不可能なのに対し、株式無償割当は自己株式の交付が可能――の3点です。

 

Ⅲ.単位株制度

  単位株制度とは、定款で定めた一定数の株式をまとめたものを1単元とし、1単元株式には1議決権を認めるけれども、単元未満株式には議決権を認めない制度です。単元株制度により、議決権行使に伴う株主管理コストを削減すると同時に、小さな株式単位を維持することで株式の流通性も確保できるメリットがあります。

  会社の成立後に、単元株制度を採用し、または単元株式数を増加する場合、株主総会の特別決議による定款の変更が必要です。これに対して、会社が単元株制度を廃止、または単元株式数を減少させる場合は、取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)によって、定款を変更することができます。
 

1.適用範囲

  原則として範囲の制限はなく、会社の定款によって1単元の株式を定めることができます。ただし、1単元を構成する株式の数は、1000および発行済株式総数の200分の1以内でなければなりません。議決権を有する株主があまりに少なくなってしまうことを防ぐためです。

また、種類株式を発行している会社では、種類株式ごとに出資単位が異なるのが通常なので、1単元を構成する株式数は種類株式ごとに定めなければなりません。
 

2.単元未満株主の権利

  例えば、1000株を1単元にした場合、500株の株主は単元未満株主となり、議決権は認められません。しかし、単元未満株主には、次の権利が与えられています。

まず、単元未満株主は、会社に対して単元未満株式の買い取りを請求することができます。これにより、投下資本の回収が図れます。

次に、単元未満株主が議決権を行使するために、会社に対して1単元に満たない数の株の売却を請求できます。つまり買い増し請求です。ただし、これは定款に定めがある必要があります。

また、議決権とそれを前提とした権利(例えば株主提案権など)以外の、共益権や自益権については、定款で制限されていない限り原則として認められます。

 

Ⅳ.利益供与の禁止

  会社は、企業経営の健全性を確保するとともに、会社財産の浪費を防止するため、誰に対しても、株主の権利の行使に関して、会社またはその子会社の計算で財産上の利益を供与してはなりません。子会社の計算でとは、子会社に資金を拠出させてという意味です。

  一方、財産上の利益供与を受けた者は、それを会社またはその子会社に返還しなければなりません。また、利益供与に関与した取締役などは、供与した利益の額について会社に対して連帯して支払いする義務を負います。

行政書士講座

ページ上部へ戻る