第151回 株式とは~その1

  株式は、株式会社における核です。これなくして株式会社はあり得ません。そこで、今日は、①株式と株主、②株式の内容と流通――のお話です。

行政書士講座

Ⅰ.株式と株主
 

1.株式の意義

  株式とは、株式会社における出資者である社員(株主)の地位、つまり会社の所有者としての立場を細分化して均等な割合的単位の形にしたものです。
これにより、株主・会社間の集団的法律関係を数量的に簡便に処理することが可能になります。

  株式は、2人以上の者が共有することが認められます。この場合は、共有者は共有株式についての権利を行使する者1人を定めて会社にその者の氏名または名称を通知します。通知しなければ、原則として権利を行使することができません。また、共有者は、会社からの通知または催告を受領する者も1人定めて会社にその者の氏名または名称を通知しなければなりません。もし、共有者から通知がない場合には、会社は任意に選定する共有者の一人に対して通知または催告すれば足ります。

  株主の権利は総称して社員権と言いますが、下表の

①株主が会社から経済的利益を受けることを目的とする自益権

②株主が会社経営に参加することを目的とする共益権――に分類されます。

商法151-1

  また、株主の権利には、

①1株の株主でも行為することができる単独株主権

②発行済み株式総数や総株主の議決権の一定数・一定割合以上を有する株主のみが行使することができる少数株主権

――とがあります。それぞれについては下表にまとめました。

商法151-2

  ここで、公開会社と非公開会社の説明をします。

公開会社とは、その発行する全部または一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社のことです。
つまり、一部の株式の譲渡だけに株式会社の承認が必要であると定款に定められている場合も会社法では公開会社です。
ここで注意しなければならないのは、公開会社=上場会社ではないことです。証券取引所に上場していなくても、株式に譲渡制限がなければ公開会社です。

  次に、非公開会社とは、公開会社ではない会社のことで、会社法上では、「公開会社でない株式会社」と言います。
つまり、非公開会社=公開会社ではない会社=すべての株式に譲渡制限のある会社のことです。やはり注意しなければならないのは、非公開会社=株式を上場していない会社ではないことです。

  なお、現在、日本の株式会社の大多数が、この非公開会社という形態をとっていると言われています。
 

2.株主平等の原則

  株主平等の原則とは、株主は、株主としての資格に基づく法律関係については、その保有株式の内容および数に応じて平等に取り扱われなければならないとする原則です。
この原則の意味は、会社は権利内容などの異なる株式の発行は認めるけれど、各株式の内容が同一である限りは株式数に応じて同一の取扱いがなされるべきであるということです。
具体的に言うと、Xさんが1株主、Yさんが2株主だとすると、Xさんに配当が100円なら、Yさんには200円、Xさんの議決権が1票なら、Yさんの議決権は2票というように、持株数に比例した平等です。

  株主平等の原則は、株主としての資格に基づくすべての法律関係に適用されます。また、株主平等原則は、①各株式の内容が原則として同一であること、②同一内容の株式は同一の取扱いがなされるべきこと――を具体的内容とします。
つまり、ある株主には50円配当する株式を、ある株主には100円配当する株式を発行するというようなことは原則として許されません。
例外として、非公開会社では、①剰余金配当請求権、②残余財産分配請求権、③株主総会における議決権――について株主ごとに異なる扱いを行う旨を定款で定めることができます。

 

Ⅱ.株式の内容と流通

  株式平等の原則はあくまで原則です。合理的な理由があれば例外が認められるのです。

  会社法では、

①すべての株式の内容として特別なものを定めること

②権利の内容の異なる複数の株式を発行すること――を認め、

株式の多様性を認めることで、株式による資金調達の多様化と支配関係の多様化の機会を株式会社に与えようとしています。

  ①を特別な内容の株式、②を種類株式と言いますが、それらを下表にまとめてみました。

商法151-3

  次は、株式会社の社員の地位を表章する株券についてのお話です。

  株券は、財産的価値を有する私権を表章する有価証券です。そして、有価証券は、表章する権利の譲渡・行使に証券の交付・所持を要します。言い換えると、株券は株式つまり株主の権利を表した紙ということです。

  株主の投下資本回収の手段を保証するために、株式譲渡は自由です(詳しくは後述します)。しかし、株式そのものは目に見えない権利ですから、株式の譲渡が自由であると法律に定めるだけでは、株式の譲渡が活発に行われるようにはなりません。そこで、株式が円滑に取引できるような仕組みが必要になります。

そこで、まず目に見えない権利である株式を目に見えるようにして、株式の移転に関する法律関係を明確にしました。目に見えない物を売ったり買ったりするのは難しいから目に見える株券という形で取引するようにしたのです。

  原則では、株式会社は株券を発行しないのですが、株式を発行する旨の定款規定を設けることで株券の発行が可能になります。株券発行の定めがある会社を株券発行会社と言います。そして、株券発行会社は、株式を発行した日以後、遅滞なく株券を発行しなければなりません。もっとも、株券発行会社が非公開会社である場合は、株主からの請求があるまでは株券を発行しなくてもよいとされています。

  また、株券に記載される事項は、①番号、②代表取締役・代表執行役の署名、③会社の商号、④表章する株式数、⑤譲渡制限株式であるときはその旨、⑥種類株式であるときはその種類および内容――です。

  株券の効力の発生はいつなのか? ここで考えてみましょう。

株券の発行手続きは、①会社が印刷業者に頼んで株券を発行する→②できた株券を株主に郵送する→③株主の手元に到達する――です。さて、①~③のどの時点で株券が有価証券として有効になるのでしょう?

判例・通説では、株券は、株主の手元に到達した③の時点で有価証券となるとしています。
その理由は、株券の発行は会社から株主に対する意思表示と考えると、到達主義が原則だからです。つまり、配達の途中でどこかに紛れ、拾った人がいても、有価証券とはなりません。これで、株主も安心ですね!

  ここからは、補足になりますが、平成21年1月5日、上場株式の取引の迅速な決済に対応するために「社債、株式等の振替に関する法律(振替法)」が施行されました。この法により、上場株式については株券の不発行を前提とした株式振替制度が施行され、上場株券は一斉に無効となりました。
この制度は上場株式については紙に印刷された株券をなくし、株式会社証券保管振替機構(通称ほふり)を中核としたコンピュータネットワークで一元管理する仕組みです。いわゆる上場株券の電子化です。

振替法の下では、振替株式に関して、振替口座簿への増加の記載・記録がその移転の効力要件となるなど、会社法の内容とは異なる点がいろいろあります。しかし、行政書士試験の内容としては、会社法重視なので、詳しくは割愛します。

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