第143回 公の施設など

  地方自治法の最終回です。今回は、①公の施設、②地縁による団体、③関与――について解説し、これで行政法を終わりとします。

 

Ⅰ.公の施設

  公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために地方公共団体が提供する施設のことです。

  公の施設の設置や管理に関する事項は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除き、条例で定めなければなりません。そして、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため、条例の定めにより指定管理者に使用許可申請に対する処分等の管理を行わせることができます。

  また、公の施設は、議会の議決を経たうえで、関係普通地方公共団体との協議で、当該普通地方公共団体の区域外でも設置することができます。

  公の施設は、正当な理由がない限り住民が利用することを拒んではいけませんし、協議により、他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることもできます。

  住民が、公の施設を利用する権利に関する普通地方公共団体の長などのした処分に不服がある者が不服申立てをできる場合を下表にまとめました。

行政法143-1

Ⅱ.地縁による団体

  地縁による団体とは、町または字の区域その他市町村の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体のことで、例を挙げれば自治会などがこれに当たります。

この地縁による団体は、地域的な共同活動のための不動産や不動産に関する権利等を保有するため、市町村長の認可を受ければ、その規約の目的の範囲内で、権利を有し義務を負います。この市町村長の認可を受けた団体を認可地縁団体と呼びます。

  認可地縁団体は、正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではなりません。

また、認可地縁団体が、地域的な共同活動を行っていない場合のように、成立要件を欠くことになったときや、不正な手段で認可を受けたときは、市町村長はその認可を取消すことができます。

 

Ⅲ.関与

  関与とは、普通地方公共団体の事務処理に対し、国の行政機関または都道府県の機関が行う一定の行為のことで、

①助言または勧告

②資料の提出の要求

③是正の要求

④同意

⑤許可・認可または承認

⑥指示

⑦代執行

⑧普通地方公共団体との協議――があります。

  まず、関与には次の3つの原則が存在します。

a関与の法定主義:国または都道府県による関与は、法律またはこれに基づく政令の根拠が必要なことです。

b一般法主義の原則:関与は、一般法である地方自治法の定める原則に則らなくてはならないということです。

c公正・透明の原則:関与に関する手続きについて、書面の交付、許可・認可等の審査基準や標準処理期間の設定、公表等を定めるものです。

   原則を念頭に①~⑥の各関与の概要を下表に示します。

行政法143-2

  ⑦の代執行は、地方公共団体の法定受託事務の管理または執行に関して、法令または各大臣・都道府県知事の処分に違反しているとき、事務処理を怠っているときに、一定の要件のもと、各大臣または都道府県知事が裁判などの手続きを経て、是正のための措置を地方公共団体に代わって行うことです。

行政法143-3

  また、法定受託事務に係る処理基準は、目的を達成するために必要最小限のものでなくてはなりません。

  そして、各大臣の地方公共団体に関する関与は、事前手続の方式が整備され、法律による行政の原理が徹底されています。
具体的には、助言等・資料の提出の要求などでは、地方公共団体から書面の交付が求められた場合には、原則として書面の交付義務があるとともに、助言に従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしてはいけません。

また、是正の要求などでは、原則として同時にその内容・理由を記載した書面の交付義務があります。

協議の申出がなされたときには、誠実に協議を行うとともに、相当の期間内に協議が調うよう努める義務があります。

普通地方公共団体から申請や協議の申出があった場合には、許認可等をするかどうかの判断基準を定め、原則として公表する義務があります。また、標準処理期間についても通常必要とする期間を定め、公表する努力義務があり、申請の到達主義を採用しています。

また、国の行政機関が自治事務と同一の事務を自らの事務として処理する場合は、原則として、事前に普通地方公共団体に対して、処理の内容・理由を記した書面で通知しなければなりません。

  しかし、国や上級行政庁の関与に関して地方自治体が従うばかりとは限りません。国と地方公共団体や都道府県と市町村などで係争が起こった場合の係争処理の手段には、

①国地方係争処理委員会

②自治紛争処置委員

③関与に関する訴え――があります。

  まず、地方公共団体に対する国の関与に関する係争処理手続きを取り扱う機関に、①の国地方係争処理委員会があります。総務省に置かれる常設の機関で5人の委員で構成されます。

行政法143-4

  ②の自治紛争処理委員は、3人とされ、普通地方公共団体相互またはその機関相互の紛争や都道府県関与などの事件ごとに総務大臣または都道府県知事が任命する臨時の機関です。市町村長またはその他の執行機関が総務大臣に対し審査の申出をしたときは、総務大臣は自治紛争処理委員を任命し、事件を審査に付さなければなりません。

行政法143-5

  国地方係争処理委員会や自治紛争処理委員による審査・勧告等によっても紛争が解決されない場合には、普通地方公共団体の長その他の執行機関は、③の訴えを提起して裁判所の司法判断を求めることになります。

  国の関与に関する訴えをする場合には、事前に、国地方係争処理委員会に審査の申出をすることが必要です。訴えは、原則として、当該審査の申出の相手方となった国の行政庁を被告として高等裁判所に対して提起します。ただし、国の関与があった後または申請等が行われた後に、当該行政庁の権限が他の行政庁に承継された場合には、承継された行政庁が被告となります。

  審査の対象は、国地方係争処理委員会が関与の適法性に加え、妥当性をも対象とするのに対し、裁判所では、違法性のみが対象となります。裁判の手続きは、訴えの内容に応じて準用される条文が異なります。

  また、国の関与に関する訴訟の要件と出訴期間は、

a委員会の審査の結果・勧告に不服がある場合は、審査の結果または勧告の内容の通知があった日から30日以内

b委員会の勧告を受けた国の行政庁の措置に不服がある場合は、当該措置に係る委員会の通知があった日から30日以内

c審査の申出をした日から90日を経過しても委員会が審査・勧告を行わない場合は、当該90日を経過した日から30日以内

d委員会の勧告を受けた国の行政庁が勧告に示された期間内に必要な措置を講じない場合は、当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内――です。

  国の関与に関する訴えに関する判決も、通常の訴訟と同様に、却下、棄却、認容――があります。

  自治紛争処理委員に審査の申出をした都道府県の関与に関する訴えの場合も、国地方係争処理委員会の場合と同様ですので、下表で確かめてください。

行政法143-6

行政法143-7

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