第111回 行政行為のそれぞれ

  前回、10種類の行政行為に分類しました。今回は、それを一つひとつ紹介したいと思います。

行政法111-1

 

Ⅰ.下命・禁止・免除

  まず、下命・禁止から解説します。下命とは、国民に一定の作為・不作為・給付・受忍を命じる行為のことで、国民の自由を制限して義務を発生させるものと言えます。
例を挙げると、租税納付命令、違法建築物の除却・移転の命令――などです。

  この下命のうち、特に一定の不作為を命じる行為禁止と言います。例えば、営業停止命令、道路の通行禁止、違法建築物の使用禁止――などです。いずれもあることに対して「しない」ことを命じることに注意してください。

禁止を無視してあることをした場合、強制執行または処罰の対象となります。しかし、この場合の行政行為は、命令的行為の一つなので、行ったあることが無効となるわけではありません。

  一方、特定の場合に作為・給付・受忍の義務を解除する行為のことを免除と言います。下命によって発生した義務を消滅させるものという点で、免除は下命と裏表の関係であるという性質が認められます。
例としては、納税の猶予(租税納付命令の裏)を挙げることができます。

 

Ⅱ.許可・特許・認可

  次に、とても似ている許可・特許・認可について比較しながらお話しします。

  まず、許可とは、一般的な禁止を特定の場合に解除することです。負担を取り去るという観点から免除の一種であると言えます。つまり、下命の中に禁止があったように、免除の中に許可が含まれていると考えてください。

  許可があれば、適法に一定の行為をすることができます。
例えば、医薬品の製造の承認、自動車運転の免許、公衆浴場や飲食店の営業許可――などが該当します。どれも、禁止されているものが可能になるという点で共通する点に注意してください。

  自動車運転の免許は、免許なのに許可なのかと疑問に思った方がいらっしゃると思います。行政学上では許可に分類されるものの中には、許可以外の言葉が使われることがあり、記述の免許のほか認可という言葉が使われることもあります。

  許可とは、もともと私人が持っている自由を回復するものとも言えます。新たに権利を発生させるものではありません。このため、許可の対象となる行為は、私法により規律されます。
例えば、許可を重複して行えるか否かは、その対象となる行為が民法などから自由といえるか否かによって決まり、許可を受けた者の優劣も民法などで決まります。

  また、許可は、命令的行為に分類されますので、許可をするか否かの判断では、行政庁に覊束裁量しか認められません。つまり、許可申請が競合した場合は、申請の順がものを言います。申請が先の者が優先されるのです。このルールを先願主義と言います。

  次に、特許とは、直接の相手方のために、能力、権利の付与、包括的な法律関係を設定する行為のことです。
例として、鉱業権設定の許可、運送事業の免許、生活保護給付の決定――などが挙げられます。

  特許がなされる前提要件を出願と呼び、出願の趣旨に反する特許は有効に成立しません。例えば、公務員が出願し採用されることも特許の一つですが、何かの手違いで出願した人の意思とはまったく異なった職種で採用がなされた場合がこれに相当し、採用(特許)は有効とはなりません。また、特許によっていったん権利や法的地位を与えたとしても、利権の付与を撤回するだけなので、行政庁がこれを剥奪・変更することはたやすいと言えます。

  さらに、特許は形成的行為なので、国民が本来持っている自由に干渉するものではありません。そこで、特許は自由裁量行為として行政庁の裁量が広く認められます。
例えば、すでに特許が与えられた者があることを理由に、出願に対する拒否処分を行えます。また、競合者がいる場合には、先願主義の採用はなく、申請者のいずれに特許を与えるのが適切かは、専門的な判断によって決めることができます。

  もし、重複して特許が与えられた場合には、すでに特許が与えられた人は新たに特許を与えられた人に対して、自分が優先すると主張できます。

  3番目は認可です。認可とは第三者の行為を補充してその法律上の効力を完成させる行為のことです。許可や特許は、それだけで人の法的地位に影響を与えるのに対し、認可は第三者の行為と行政行為が相まって初めて人の法的地位に影響を与えます。許可が行為の適法要件にすぎないのに対して、認可はこれがないと法律行為としての効果が発生しません。

例を挙げると、銀行合併の認可、農地の取得における農業委員会の許可――などです。銀行が合併するには当事者の合併契約と行政庁の認可が必要です。農地の取得も当事者の売買契約と農業委員会の許可(行政法上は認可に当たります)が必要です。

  農業委員会の許可のように、行政法学上は認可に分類されるものも、法文上は違う表現がされることもあるので、注意してください。

  今までの下命・禁止、免除・許可、特許・認可は、比較的行政書士試験に出題されやすい行政行為の類型なので、しっかり違いを覚えるようにしましょう。なお、文末に行政行為を一覧表にまとめますので、参考にしてください。

 

Ⅲ.代理

  法律行為的行政行為の一つ代理は、第三者が行うべき行為を国が代わって行い、その結果、第三者が行ったのと同じ効果が発生するもののことです。他人がすべき行為を国が行為をすることで完成するという点で認可と似ている面を持っています。

代理の例が、土地収用の裁決、日銀総裁の任命――です。土地収用の裁決は、土地を購入する人と売却する人で売買契約を行って所有権移転の効果が生じるところを、土地収用の裁決があると、売買契約が成り立たなくても購入者に所有権が移転する効果が発生します。日銀総裁の任命も、日本銀行の内部で任命をすべきところ、両議院の同意を得て内閣が任命することになっています。

 

Ⅳ.確認・公証・通知・受理

  続いて準法律的行政行為を

①確認

②公証

③通知

④受理――の4つに分類してお話しします。

  まず、確認とは、特定の事実または法律関係に関して、疑いまたは争いがある場合に、公の権威をもってその存否または真否を確認する行為とされています。例を挙げると建築確認や恩給権の裁定などで、間違いがあっては困る内容について、間違いがないように国または公共団体が確認する行為と言えます。

  建築確認は、対象となる建築物が建築基準法に定められている条件を満たしているか否かを確認するというだけのことですが、基準を満たさない建築物が無断で建てられると危険なので、基準を満たすことの確認がない限り着工できず、建築確認があるとその建築物が着工可能になるという効果が、行政庁の意思に関わらず発生するので、準法律行為的な行政行為に当たります。

  恩給権の裁定も資格の存否を確認するだけのものですが、資格がない人に恩給を支給するのは国家財産の無駄遣いになるので、この裁定を行って権利の存在が確認されてから恩給を受けることができるようになるので、これも準法律行為的行政行為です。

  次に公証とは、特定の事実または法律関係の存否を公に証明する行政行為のことで、例えば、運転免許証の交付、選挙人名簿への登録――などがこれに当たります。確認と同じくある事実の存在を明らかにすることですが、対象がその存否に争いがあるのではなく国または公共団体が、ある事実が確かであることをただ証明してくれる行為のことを公証と言います。

  公証の結果、自動車の運転が可能になったり、選挙権の行使が可能になったりするという効果を生じます。

  一方、通知とは、特定の事項を知らしめる行為のことです。対象は特定の人のほか、不特定の人に対するものも含みます。
例えば、租税納付の督促、代執行の戒告――などです。租税納付の督促があれば納付すべき金額に督促料が発生する、代執行の戒告があると代執行を受けることの受忍の義務が発生する――というように特別の効果が発生します。

  最後に受理とは、他人の行為を有効な行為として受領する行為のことです。
例えば、婚姻届が受理されると、婚姻の効果が発生し、婚姻届を提出した人が夫婦になるわけです。

行政法111-2

行政法111-3

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