第98回 保佐制度・補助制度・任意後見制度とは

  民法は平成12年に、変わりゆく社会生活に対応するために大幅な改正を行いました。前回の成年後見制度でも改正点がありましたね。

今回お話しする①保佐制度、②補助制度、③任意後見制度――も、改正前の準禁治産制度に代わって登場した規定です。

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Ⅰ.保佐制度

  先ほども述べましたが、保佐制度は、従来の準禁治産者制度に代わって新設された制度です。成年後見制度と同じく、精神上の障害で事理弁識能力が不十分な人を保護する制度ですが、成年後見では、被後見人は常に事理弁済能力が欠如しているのに対し、保佐は被保佐人の事理弁済能力は著しく不十分ではあるものの、少しは判断能力がある人に適用されます。

  保佐は、家庭裁判所の保佐開始の審判によって開始し、審判の際に家庭裁判所の職権で保佐人が選定されます。保佐人には員数制限がないことや欠格事由などは、成年後見人に関する規定が準用されます。

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1)保佐人の事務

  保佐人も被保佐人の身上監護上では、身上配慮義務を負いながら、

①被保佐人が行う一定の法律行為への同意

②特定の法律行為についての代理権の行使――を行います。

  財産管理権についての権能は①の同意権となる点が後見人とは異なります。その理由は、被保佐人は不十分ながらも事理弁識能力を有しているので、同意の下でなら有効な法律行為となるからです。

  また、②の代理権についても、家庭裁判所から代理権を付与される特定の法律行為についてのみです。

  家庭裁判所が必要と認めれば保佐監督人を選任できることは、成年後見制度と同様です。保佐人と被保佐人の利益相反行為については、保佐監督人がいない場合には、保佐人は臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。

 

Ⅱ.補助制度

  補助制度も精神上の障害により事弁識能力が不十分な人を保護するための制度ですが、事理弁識能力は著しく不十分とまでは言えないものの、十分ともいえ人に対する制度です。

  補助の開始、補助人の選任、補助の事務などは保佐と同様ですが、補助人の財産管理における同意権は、家庭裁判所が付与した一部の法律行為に限って有するだけです。

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Ⅲ.任意後見制度

  平成12年の、成年後見、保佐、補助に合わせて、「任意後見契約に関する法律」が制定されて出来た新しい制度です。この制度は高齢化社会の進展に伴って、自らの意思による簡易な後見開始の観点から制定され、本人の判断能力があるうちに、判断能力が不十分になった場合に備えて、後見事務の内容や任意後見人を契約によって決めておく制度です。

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1)任意後見契約

  任意後見契約とは、委任者が受任者に対して、精神上の障害により事理弁識能力が不十分な状況での

①自己の生活

②療養看護

③財産の管理に関する事務の全部または一部――を委託する委任契約です。

任意後見契約は、委任後見監督人が選任されたときから効力が発生する特約を付け、公正証書を作成し登記も必要です。

  なお、この場合の事理弁識能力は、少なくとも補助に当たる程度とされています。
 

2)任意後見監督人の選任

  任意後見契約が登記されている場合には、一定の範囲の人からの請求で、家庭裁判所が本人の事理弁識能力が不十分と認めれば、任意後見監督人の選定を行って、任意後見契約の効力が発生します。

  任意後見人の事務内容は、任意後見契約に定められた内容によって決まりますが、当然法律行為に限られ、例えば介護サービスなどの日常行為は含まれません。

  家庭裁判所で選任された任意後見監督人の職務は、任意後見人の事務を監督し、定期的に家庭裁判所へ報告をすることです。この任意後見監督人の職務は、間接的に家庭裁判所が任意後見人を可得することになります。
 

3)任意後見契約の解除

  任意後見契約はあくまで委任契約の一種なので、原則としていつでも解除が可能です。ただし、任意後見監督人の選任前の解除には、公証人の認証を受けた書面が必要です。

ところで、任意後見と法定後見との関係はどうなるのでしょう? 

被後見人である本人の自己決定を尊重し、両者の権限の抵触・重複を回避するために、任意後見契約が締結されている場合には、原則として任意後見による保護が優先されるとともに、両者が併存しないように努める必要があると考えられています。

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