第97回 後見制度はどういう制度か

  前回、養親が親権を行使できなくなった場合には、後見が開始するとお話ししましたね。今回は、その後見について、①後見制度、②後見人の事務と終了――について解説します。

民法97-1

行政書士講座

Ⅰ.後見制度

  後見とは事理弁識能力が不十分な人を保護する制度で、保護する人を後見人、保護を受ける人を被後見人と呼びます。

  後見は、

①年齢的に事理弁識能力が不十分な未成年のための未成年後見

②成年であっても精神上の障害により事理弁識能力が不十分と認められた人のための成年後見――の2種類に分かれます。

ただし、未成年の場合には、第一次的には親権者が身上監護を行うので、未成年後見が行われるのは、通常親権者がいないなどの場合です。

民法97-2

1)後見の開始

  未成年後見が開始するのは、親権者が親権を行えなくなった場合、つまり、

①父母双方が死亡

②父母双方に成年後見開始原因に匹敵するような精神上の障害が生じた時――などです。

父母の双方にというところが重要です。一方にこれらの事由が生じても他方が親権を行使できるので、後見は開始しません。

  他方、成年後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある人に対する家庭裁判所の後見開始の審判によって開始します。
 

2)後見人

  未成年後見の場合、第一次的な未成年後見人は、最後に親権を行う人が遺言で指定した後見人(指定未成年後見人)です。この指定は必ず遺言で指定される必要があります。遺言で指定された人が、遺言の効力発生後、就任を承諾することによって未成年後見人になります。

  この指定がしてなかったり、指定された人が就任を拒否した場合は、家庭裁判所が未成年者本人やその親族などの利害関係人からの請求で、後見人を選任し、その人が承諾することによって未成年後見人に就任します。この場合の後見人は選定未成年後見人と呼ばれます。

  一方、成年後見の場合は、家庭裁判所が後見開始の審判を行う際に、同時に被後見人の心身状態、生活・財産状況などの事情を考慮して、職権で後見人を選定し、その人が承諾すれば成年後見人に就任します。

  なお、後見人の員数は、未成年後見の場合は後見事務の円滑な遂行のために1名と規定されていますが、成年後見の場合には員数の制限はありません。

 

3)後見監督人

  未成年後見、成年後見ともに後見人の監督機関として後見監督人が置かれることがあります。就任の仕方はほぼ後見人の場合と同様ですが、員数制限は未成年後見の場合もありません。

 

Ⅱ.後見人の事務と終了

  後見制度とは被後見人を保護する制度ですが、民法では大きく

①被後見人の身上に関する保護の側面である身上監護権

②被後見人の財産管理に関する保護の側面である財産管理権――に分けて規定しています。

民法97-7

1)未成年後見の事務

  未成年後見の身上監護権は、

①監護教育権

②居所指定権

③懲戒権

④職業許可権――で、財産管理権は、

①狭義の財産管理権

②代表権

③同意権――と前回お話しした親権と同一の内容です。つまり、未成年後見は親権を補充するためのものなのです。ただし、後見で後見監督人を置く場合は、後見監督人の同意が必要だったり、財産管理の際の注意義務が善管注意義務になるなど親権の場合より強い注意義務が課されています。
 

2)成年後見の事務

  成年後見の場合、身上監護の側面では民法に「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年非後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態および生活の状況に配慮しなければならない」と規定されており、後見人の権能という形でなく、身上配慮義務という義務という形での規定となっています。この理由は、保護を受ける人が成年者であるために、後見人の事務も権能ではなく義務としての側面が強いことと言えます。

  また、成年被後見人の財産管理として有するのは、

①管理権

②代表権――です。

未成年後見の場合にあった同意権がないことが特徴です。また、後見人が後見の立場を利用して被後見人をおとしめることを防ぐ目的で、成年後見人が成年被後見人に代わって成年被後見人の居住にする建物やその敷地について、売却、賃貸その他の処分を行うには、家庭裁判所の許可が必要と規定されています。
 

3)後見の終了

  後見の終了事由は、大きく2つ。

①当事者の意思と無関係に当然に終了するもの

②当事者の意思に基づくもの――です。

  ①の当然の終了事由は、

①一方の当事者の死亡

②欠格事由の発生――などであり、

②の当事者の意思に基づくものには、

③後見人の辞任

④被後見人自身や親族等の意思を受けて家庭裁判所が行う解任――があります。

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