第95回 養子制度とはどういう制度か

  親族についてお話ししたときに、養子について少し触れたと思いますが、今回は、その養子制度を詳しく見ていきます。養子制度は、縁組後も実父母やその他の実方との親戚関係を維持できる普通養子縁組と、実方との関係が終了する特別養子縁組があります。

  今回は、まず①普通養子縁組について、次に②特別養子縁組についてお話しします。

民法95-1

 

Ⅰ.普通養子縁組

  普通養子縁組を行うためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
普通養子縁組の要件は、大きく

①実質的要件

②形式的要件――に分けることができます。

  実質的要件とは、縁組の意思の合致と縁組の障害の不存在――です。縁組意思とは、戸籍の届出をするという届出意思と、社会通念上真に親子と認められるような関係を設定しようとする意思が、当事者双方にあることが必要です。

  また、縁組障害とは、縁組を拒む事由のことで、養親となる人が未成年であったり、養子となる人が尊属・年長者などの場合がその例です。当然ですが縁組障害がある縁組の届出は受理されません。もし誤って受理された場合は、その縁組も一応有効に成立し、取消しができる縁組ということになります。
 

1)代諾縁組

  身分法上の行為は代理を行うことは認められていませんので、縁組の意思表示も本来は意思表示ある本人が行うべきものであるはずです。でも、これでは、小さな子を普通養子とすることができなくなってしまうため、例外を規定しています。

  例外の場合とは、養子となる者が15歳未満であるときのことで、この場合、法定代理人が代わって縁組の承諾をすることが認められています。

ここで、普通養子縁組ができるための条件をまとめると、次のようになります。

①縁組意思があること⇒養子が15歳未満のときは親権者・後見人が代わりに承諾しなければなりません。

②養親は満20歳以上であること⇒養子がおじ・おばなどの目上の者や年長者でないことです。

③養子が満20歳にならないときは家庭裁判所で審判をしてもらうこと

④夫婦が未成年者を養子にするときは共同で行うこと

⑤養親または養子に配偶者がいる場合はその同意があること

⑥養親が後見している者を養子にするには家庭裁判所の許可

⑦市町村長・区長に養子縁組の届出を提出すること

民法95-2

2)普通養子縁組の効果

  養子は縁組の日から、養親の嫡出子である身分を取得し、原則として養親の氏を称します。しかし、普通養子は実方の親戚関係を縁組後も続けられます。

また、縁組によって、養子は養親と養親の血族との間においても縁組の日から親族関係で結ばれますが、養子の血族と養親の血族間には親族関係は発生しません。
 

3)普通養子縁組の解消

  いったん完全に成立した養子縁組が解消する場合には、

①離縁

②特別養子縁組を行う場合――があります。

縁組当事者一方の死亡は、縁組の解消には直接つながりません。ただし、死亡後に行う死亡離縁によって縁組の解消を行うことは可能です。

  離縁には、婚姻と同じように、

①当事者間の協議で行う協議離縁

②協議が調わず、裁判によって離縁が行われる裁判離縁――とがあります。

  また、普通養子がさらに他人の特別養子となった場合は、普通養子関係は終了しますが、単に普通養子縁組の転縁組を行った場合は、従前の普通養子縁組関係は終了しません。

民法95-3

 

Ⅱ.特別養子縁組

  家庭に恵まれない子に手を差し伸べるために、昭和62年に特別養子縁組制度が作られました。特別養子縁組制度は、養子と実方の血族との親族関係を終了させる点が普通養子縁組と大きく異なります。
 

1)特別養子縁組の要件

  特別養子縁組制度は、恵まれない子に家庭を提供することを目的としているので、縁組に際しては、普通養子縁組に比べ、極めて厳格な要件が付されている上に、家庭裁判所の審判を経なければ、縁組を行えません。

  特別養子縁組の要件は次の5つです。

①養親となる者は配偶者ある者が夫婦そろっての共同縁組を行わなければならない

②特別養子となる子は家庭裁判所に審判を請求する時点で6歳未満でなければならない

③従前の父母による監護が著しく困難または不適用でなければならない

④養子となる子の父母の同意が必要である

⑤原則として審判請求時から6カ月以上のお試し期間の前置が必要である

  ①の夫婦の共同養子とする理由は、養子となる子に両親の揃った普通の家庭を与える必要があるからです。

  ②の養子となる子が6歳に達していないとする理由は、養親と実親子間と同様の年齢差を設ける必要と、就学前の幼少時に養親の家庭に馴染ませようとする目的です。

  ③のことを要保護要件と言いますが、そもそも特別養子縁組制度が、家庭に恵まれない子を対象とした制度であることによる要件です。

  ④において養子の子となる子は特別養子縁組によって従前の親子関係が終了するためで、ここでいう父母は実父母のほか、前の養親も含まれます。

  ⑤の要件の理由は、養親の適格性や養親子間の相性を確認するためです。
 

2)特別養子縁組の効果

  特別養子縁組が成立すると、特別養子と実方の父母及びその血族との親戚関係は原則終了します。例外として、夫婦共同縁組を必要としない連れ子養子の場合は、実方の血族との親戚関係が継続します。

民法95-4

3)特別離縁

  特別養子縁組においては、原則としては離縁は認められていません。つまり協議離縁、裁判離縁はありません。

特別に特別離縁が認められるのは、次の3つの要件がそろった場合です。

①養親の虐待がある

②実父母の相当の監護が期待できる

③養子の利益から離縁の必要性がある――以上の要件が揃った場合に、家庭裁判所の審判によって離縁が認められれば、特別離縁が成立します。

 

ページ上部へ戻る