第93回 離婚とその効果

  いったん有効に成立した婚姻が終了する場合には、前回お話しした婚姻の取消しのほかで、婚姻成立後に生じた事由で終了する場合に婚姻の解消があります。婚姻の解消原因は、①夫婦の一方の死亡と②離婚――です。

  今回は、①離婚の効果と②離婚の種類についてお話しします。

民法93-1

 

Ⅰ.離婚の効果

  離婚は、成立の仕方によって

①協議離婚

②調停離婚

③審判離婚

④裁判離婚――に分かれます。

  ①協議離婚とは、双方が離婚に合意し、離婚届を提出することによって成立する離婚です。

  ②調停離婚とは、話合いで離婚の合意ができない場合に、家庭裁判所に申立てを行い、調停の場で話合いが付けば調停証書が作成され、成立する離婚です。

  ③審判離婚とは、調停成立の実質があるにもかかわらず、調停が成立しない場合に、家庭裁判所で調停に代わる審判で離婚を決定する離婚です。

  ④裁判離婚とは、調停が不成立に終わった場合に、家庭裁判所で離婚判決を確定して成立する離婚です。ただし、離婚するためには離婚原因の立証が必要です。

このほか、訴訟中の和解離婚認諾離婚もあります。

  離婚の効果はどれも同様で、最大の効果はもちろん婚姻関係の解消ですが、それに伴って身分上、財産上にいくつかの効果が派生します。

民法93-2

1)離婚の身分上の効果

  離婚の身分上の効果は、

①婚姻関係の解消のほかに、

②姻族関係の終了

③氏の変動

④子の親権者・監護者の指定

⑤祭祀財産の承継者の指定――があります。

  ②の夫婦の一方と他方の血族との姻族関係は、離婚によって当然終了します。同じ夫婦関係の終了の場合でも、一方が死亡した場合は、姻族関係の終了の意思表示が行われて初めて姻族関係が終了するのと異なり、必然的に終了します。

  また、婚姻によって氏を改めた夫または妻は、離婚によって婚姻前の氏に復します。これを復氏の原則と言います。ただし、離婚の日から3カ月以内に届出をすることで、婚姻中の氏を称することもできます。夫婦一方の死亡による婚姻解消の場合は、生存配偶者が復氏の届出をすることによって初めて婚姻前の姓に戻り、届出をしないと、婚氏のままになりますので、離婚と死別では原則と例外がまったく逆になります。

  未成年の子がいる場合、離婚の際には親権者をどちらか一方の定めることが必要です。離婚協議で話合いが付かないときは、家庭裁判所に申出て決定してもらいます。また、夫婦の一方の死亡による婚姻の解消の場合には、生存配偶者が親権者となるのは当然です。

  婚姻によって氏を改めた人が祭祀に関する権利を承継した後に離婚する場合、承継者を指定する必要があります。これは、今までの慣習や国民感情に沿った規定と理解されています。
 

2)離婚の財産上の効果

  離婚の財産上の効果として、当事者間の財産関係の清算の性質を持つ財産分与が最も重要となってきます。財産分与とは、夫婦が作りだした財産を離婚に際して分けることで、まずは、当事者間の協議によって決められますが、これが調わないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分の請求を行います。また、財産分与には分かれて生活が困難になる者への扶養料も含まれるとされています。

  次に離婚に伴う精神的な打撃に対する償金である慰謝料についても問題が生じますが、通常、離婚原因を作った側が支払い、協議離婚の場合、どうしても別れたいと思う側が多額の慰謝料を支払うこともあります。

  財産分与と慰謝料請求権は、法的に問題となることが多いのですが、判例では、財産分与請求権と慰謝料請求権とは性質が異なるとしながらも、慰謝料に相当する額も含めて柔軟に財産分与の額を決定できるとしています。

  このほか、養育費として、養育をする側は、他方に養育費の請求ができます。

 

Ⅱ.離婚の種類

  離婚はその成立の仕方で、協議離婚や調停離婚、審判離婚、裁判離婚に分かれることは前述しましたが、それぞれを詳しく見ていくことにします。

民法93-3

1)協議離婚

  協議離婚の要件は

①実質的要件として離婚の意思の合致

②形式的要件として離婚の届出――です。

離婚意思も婚姻意思と同様に、届出をしようという形式的意思と、真に夫婦としての生活協同体を解消しようという実質的意思から成立します。

  仮装離婚のように実質的意思が欠けた場合に離婚が成立するかが問題となりますが、判例では、生活保護受給継続の方便として協議離婚の届出をした場合は、離婚を有効としています。

  婚姻の場合に仮装婚姻は無効とした判例が、仮装離婚は有効としたのですから、その整合性が気になりますが、離婚の場合の実質的意思の欠如は、法律上の夫婦関係から内縁関係への移行なので、離婚の一形態として認めてよいとの見解によるものと理解されています。

  また、夫婦間に未成年の子がいるときは、一方を親権者とする必要がありますが、どちらにするか指定をしない限り離婚はできないので、協議が調わない場合は、家庭裁判所に協議に代わる審判を求めることになります。
 

2)裁判離婚

  夫婦間で離婚の協議が調わず、それでもなお離婚を望む当事者は、裁判所に離婚の手続きを申立てることになります。この場合、当事者はいきなり離婚訴訟の提起を行うことはできず、まず、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。

  このことを調停前置主義といいますが、その理由は、離婚に際し、まず第三者である調停委員の仲介により紛争を解決する方法を試みるべきとの配慮です。調停で離婚が成立すれば、調停証書に離婚判決と同等の効力が認められます。

  もし、調停の話合いも不調となったときは、職権による家庭裁判所での離婚審判に付されない限り、次の段階は家庭裁判所での離婚訴訟提起です。
離婚訴訟で離婚判決が下されるためには、

①不貞行為

②悪意の遺棄

③3年以上の生死不明

④回復の見込めない強度の精神病

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由――などの理由が必要です。

  ⑤のその他婚姻を継続し難い重大な事由とは、姑との不仲、長期の別居、性格の不一致、性行為の拒絶――などが該当します。

  以前は、自己の側に責任のある有責配偶者からの離婚請求は認められなかったのですが、最近では、責任の所在を問わず、婚姻関係の破たんという事実があれば、離婚を認めるという破たん主義への意向が見受けられます。

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