第83回 消費貸借契約と使用貸借契約

  今回は、契約のうちの①消費貸借契約、②使用貸借契約についてお話しします。

民法83-1

 

Ⅰ.消費貸借契約とその問題点

  消費貸借契約とは、借主である当事者の一方が、貸主である相手方から一定の金銭などを受取り、これと同種、同等、同量の物を返還することを約束することによって成立する契約です。目的物は金銭とは限りませんが、実際の場面で最も多いのが、金銭の消費貸借です。

民法83-2

1)消費貸借の性質

  消費貸借の合意の内容は、借主が物の返還を約束することだけですので、借主は返還債務を負いますが、貸主は債務を負わない片務契約です。また、無利息の場合は、消費貸借によって利益を受けるのは借主だけと言えるので無償契約ですが、利息が発生する場合は有償契約になります。

  また、消費貸借は、金銭等を受取ることによって成立するので、要物契約です。ただし、この要物性は、預金通帳と印鑑を交付するなどのように貨幣の授受と同等の経済的価値の移転があればOKとされています。

  金銭などの授受のない場合は、民法上の消費貸借は成立しませんが、非典型契約としての諾成的消費貸借契約は成立すると解釈されています。諾成的消費貸借が認められれば、約束の金銭を貸し渡せという権利の主張が行えます。
 

2)消費貸借の終了

  消費貸借では借主が返還義務を負担します。返還時期は、返還時期の定めがあった場合は当然にその時期となりますが、定めのない場合は、貸主が催告したときになります。ただし、消費貸借の場合は、借主の返還金調達に配慮して、相当期間(3日~2週間程度)の猶予が与えられます。
 

3)準消費貸借

  売買代金債務を負担する人が、売主との契約のその債務を消費貸借上の債務に改めるような場合を準消費貸借と言います。

民法83-3

 

Ⅱ.使用貸借契約とその問題点

  使用貸借契約とは、借主である当事者の一方が無償で使用・収益をなした後に、返還することを約束して貸主である相手方からある物を受取ることによって成立する契約です。簡単に例えれば、友人から本を借りることがこれに当たります。

民法83-4

1)使用貸借の性質

  使用貸借は賃料の支払いがないので、当然、借主が目的物の使用という一方的な利益を受けるだけの無償契約です。一般的には、無償契約は成立に何らかの形式を要求することが多く、使用貸借契約も物の引渡しによって契約が成立する要物契約です。つまり、「それを貸せ!」と要求する権利までは認められていないことになります。

  また、要物契約なので、契約成立の時点では貸主には引渡しの債務は既に存在せず、借主に返還債務が存在しているだけの片務契約でもあります。

  なお、使用・収益の対価を支払った場合は、次回に解説する賃貸借契約となるので、使用契約と賃貸借の違いは、賃料の支払いの有無と言うことができます。
 

2)使用貸借の社会的機能

  現在の取引社会においては、無償の使用は例外的であり、使用貸借は、親族間、友人間などの特別な関係にある人の間での貸借に限られていると言っていいでしょう。

  親族間の土地貸借が、使用賃借か賃貸借か、あるいは地上権かの認定は、しばしば深刻な問題となっています。一つの基準として、判例では、父親と父親所有の建物に同居していた父親の相続人は、特段の事情がない限り、父親の死後、遺産分割が終了するまでは、引続き無償で使用させるという合意が父親との間にあったと推定できるとして、父親の死亡後、遺産分割までの建物使用関係を父親の共同相続人が貸主、同居相続人が借主とした使用貸借関係と見なしています。

  使用貸借が主に問題となる場合をまとめると次のようになります。

①貸したものに欠陥があった場合の貸主の責任⇒贈与と同じで、貸主が欠陥があることを知らなかった場合は責任を負うことはない。知ってしながら相手に告げなかった場合は責任を負う。

②貸借期間を定めなかった場合、いつ借りた物を返すのか⇒契約に従って使用・収益の目的を終了したときに返還。また、それ以外でも、使用・収益をなすのに十分な期間が経過したときは、貸主は返還を請求できる。一方、貸主は、契約で返す時期・使用目的を定めなかったときは、いつでも返還請求できる。

③土地や建物の使用貸借で法定更新はあるのか⇒借地借家法では、定期借地権、借家権を除き、契約期間が満了しても、地主や家主側に正当理由がない限り、契約は更新されるとしているが、使用貸借の場合、この借地借家法の適用はなく、法定更新もない。

 

3)使用貸借の効果と終了原因

  使用賃借契約は無償契約であることから、貸主の立場を考慮し、貸主は悪意の場合以外では、担保責任を負わないことになっています。

  また、使用賃借の終了原因は特有です。契約で返還時期を定めた場合は、その時期と言うのは普通のこととして、返還時期を定めなかった場合は、借主は契約に定められた目的に従って使用・収益を終えた時期が返還義務を負う時です。それ以前でも、使用・収益を行うのに十分な時期を経過した時も、貸主は直ちに返還請求を行えます。

 つまり、使用賃借は、用が済めばすぐに返還するということが基本です。

 また、使用賃借は借主が死亡した場合は使用賃借契約自体も終了します。

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