第80回 贈与契約と問題点

  前回までは、契約についての一般的・全体的なお話をしましたが、今回から、それぞれの契約について見ていくことにします。今回は、贈与契約の内容と問題点をお話しします。

民法80-1

  贈与契約とは、自己の財産権を無償で相手方に与える契約のことです。民法上、贈与も契約なので、当事者間の意思表示の合致が必要です。「●●を贈与するよ」と相手に言っただけでは贈与契約は成立せず、相手方が承諾して初めて贈与契約が成り立ちます。

  贈与契約の当事者は、贈与者(贈り主)と受贈者です。このうち、贈与者の中心的債務は、自己の財産権を受贈者に与えることで、受贈者には中心的債務は発生しません。

民法80-2

1)贈与契約の性質

  以上のようなことから、贈与契約は贈与者側のみが債務を負う片務契約であるとともに、受贈者側が無償で利益を得る無償契約とも言えます。また、当事者間の意思表示の合致のみで成立するので、諾成契約とも言えます。
 

2)贈与契約の効力

  贈与者は、目的となった財産権を与える債務を負担しますが、この内容としては目的となった財産を引渡すことだけでなく、目的物が不動産であれば受贈者に移転登記し、第三者対抗権を具備させるところまで協力して、受贈者が完全にその目的物を支配できるまでにする義務があることになっています。

  贈与の目的財産権に瑕疵があった場合の贈与者の責任は、贈与契約が無償契約であることから、売買契約などに比べて軽減されています。瑕疵または欠缺(欠けていること)を知っていながら受贈者に告げなかった場合にのみ、責任が課されます。
 

3)書面によらない贈与

  一般的には無償の契約は、その成立を明確にするため、諸外国では要式契約とされることが多いのですが、我が国の民法では、贈与契約の成立自体は意思表示の合致のみで成立できるとし、ただし、書面によらない贈与は、履行の終了前の段階では当事者が撤回することができるとしています。

  この規定によって、我が国の贈与も結局のところ、要式契約とはそれほど違っていないのが現状です。
 

4)特殊の贈与

  Xさんが、Yさんに「私が死んだらこの腕時計をあげる」という約束をした場合は、Xさんの死亡によって贈与の効力が生じるので死因贈与と呼ばれています。

  一方、XさんがYさんとの約束でなく、一方的に遺言書の中で「私が死んだらYさんに腕時計をあげる」としておくことを遺贈と言います。

  死因贈与はあくまで契約であるのに対し、遺贈は単独行為である点で契約ではありません。でも、死亡による無償の財産嫌の移転という点では、共通しているので死因贈与は遺贈のルールに従うものとされています。

  次に贈与の種類をまとめておきますので、参考にしてください。

民法80-3

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