第63回 地上権・永小作権はどういう権利か

  本権の中の所有権について2回にわたって解説してきましたが、今回は制限物権のうちの用益物権4種類、①地上権、②永小作権、③地役権、④入会権――について解説します。

民法63-1

 

Ⅰ.地上権

  地上権とは、植林や建造物の所有を目的として、他人の土地を利用する制限物権です。
例えば、自分の家を所有するために他人の土地を利用させてもらうような場合に、地上権を設定することができます。

  土地を利用させてもらうには、

①物権である地上権設定契約

②債権である土地賃貸借契約――の2つの方法があります。

  土地を利用させてもらうという外見では同じに見える2つですが、物権と債権の性質の違いで、利用権者に次のような違いが生じます。

  地上権は物権なので、その権利を他人譲渡する場合に、土地所有者である地主さんの承諾を得る必要はありません。
一方債権である賃借権では、地主さんの承諾はもちろん必要です。

  また、第三者が勝手に土地を占拠してしまったような場合、地上権の場合は、物権的請求権の行使として妨害排除請求ができますが、債権である賃借権者には、法律上は妨害排除請求が規定されていません。ただし、判例では、対抗力ある賃借権の場合(後に賃借権で解説)妨害排除を認めています。

  さらに、権利の存続期間を見ると、地上権では永久の地上権設定も有りですが、賃借権は民法では通常最長20年、建物の所有を目的とする場合で借地借家法の普通借地権で30年と、定められています。

     *【借地借家法】前述のように、同じ建物所有を目的として土地を利用する場合に、物権である地上権と債権である賃借権とでは、権利の地位に大きな差が生じますが、実際に建物所有のために他人の土地を利用する場合は賃借権で利用することが多いため、利用者保護の観点から、借地借家法で統一的に規制されるシステムになっています。

  さて、地上権の効力ですが、植林、建造物所有のために土地利用できることは当然ですが、存続期間は永久とするのが判例です。また、地代の支払いは地上権の要件とはなっていないことも特徴です。

  地上権の一つに地下または空間の上下の範囲を限って工作物を所有するための地上権を区分地上権と言います。
例えば、他人所有の土地の地下に地下鉄を敷設する地下地上権や送電線敷設のための空中地上権などが、これに当たります。

 

Ⅱ.永小作権

  永小作権とは、耕作または牧畜をするために小作料を払って他人の土地を利用する制限物権で、小作料の支払いが必要です。

  昔、荒地を開墾する必要があった時代には、開墾した者に与えられた極めて強い特権として与えられた権利ですが、現代では、制限物権の1つとして残っている権利です。
民法では、永小作権の存続期間は20年以上50年以下と決められています。民法が施行されたときにすでにあった永小作権も施行後50年で打ち切られています。

  今日、永小作権を設定するためには、農地法による都道府県知事などによる認可も必要で、対抗要件は通常の登記のほか、農地法による引渡しも必要です。

  永小作権は、戦後の農地改革の買収処分の対象となったので、現在ではほとんど見られません。

 

Ⅲ.地役権

  地役権とは、ある土地の便益のために、他人の土地を利用する制限物権です。
例えば、通行のために土地Aの所有者が、土地Bを通行する権利などです。この場合の土地Aを土地Bの地役を要するという意味で要役地、土地Bを土地Aの地役を了承するという意味で承役地と言います。

  地役権は、要役地の所有者が誰かは関係なく、要役地から客観的に要請される権利なので、個人的な便宜のために地役権を設定することはできません。つまり、要役地が他人に譲渡された場合は、承役地上の地役権も当然に要役地の新所有者に移転するので、所有権移転登記とは別に地役権移転登記を行わなければなりません。これを地役権の附従性と言います。

  また、要役地が共有の場合には、その共有者の一人が自分の持分に応じた地役権の放棄をしたいと思っても行えず、地役権は全部として存続します。これを地役権の不可分性と言います。

  地役権はその態様により、

①継続地役権、

②不継続地役権――に分けたり、

❶表現地役権、

❷不表現地役権――に分けたりします。
例えば通行地役権の場合、通路が設けてあれば継続地役権ですが、通路がなければ不継続地役権となります。また、隣地に引水のためにパイプを通す場合に、パイプを土地の表面に這わせて外部から見えれば表現地役権、地中に埋めて見えなければ不表現地役権となります。

  地役権の存続期間については、特に定めがなく、地上権と同じく永久地役権も認められると解釈されています。

  また、地役権発生は、地役権設定契約が原則ですが、継続かつ表現の地役権には、時効取得も認められています。
判例によれば、通行地役権の時効取得は通路開設が要役地所有者によって行われることが必要です。

 

Ⅳ.入会権

  民法で定められたもう一つの制限物権に入会権があります。入会権は一定の地域に居住する住民集団が、山林原野・漁場・用水などを総有的に支配する権利です。共有の性質がない入会権は、各地方の慣習に従うほか、地役権の規定を準用することとなっています。

民法63-2

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