第62回 所有権の取得と共同所有

  物を絶対的に支配する所有権の取得には、どんな方法があるのでしょうか? また、1個の物の上には1つの所有権しか付けられないのでしょうか?

今回は、そんな視点で所有権を解説してみたいと思います。

 

Ⅰ.所有権の取得原因

  所有権の取得原因は大きく分けて

①承継取得、

②原始取得――に分けることができます。

  ①の承継取得とは、前の所有者の権利を前提として所有権を取得するもので、さらに、売買のように特定の目的物を承継する特定承継と、相続のように目的物を特定しない包括承継に分かれます。

  ②の原始取得とは、前の所有権とは無関係に所有権を取得するもので、さらに、

①時効取得

②即時取得

③無主物先占

④遺失物拾得

⑤埋蔵物発見

⑥添付――に分けることができます。

民法62-1

  無主物先占とは、所有者の存在していない動産の取得を、遺失物拾得とは、遺失物の広告をしてから3カ月以内に所有者が現れなかった場合に拾得者が所有権の取得を、埋蔵物発見とは、埋蔵物の広告をしてから6カ月以内に所有者が現れなかった場合に発見者が所有権の取得をするものです。ただし、埋蔵物拾得は、他人の所有地での発見の場合は、発見者と土地の所有者の共有となります。

  また、添付とは所有者の異なる2個以上の物が何らかの形で結合・混合し、それらを分離したり、元の形に戻すことができなかったり、とても困難な場合に、分離や復旧を認めないことを言います。分離や復旧を認めない理由は、当事者や社会経済上の見地から不利益と考えられるからです。

  添付の場合は、所有権は原則として主たる物の所有者が所得し、所有権を失った者は取得者に対する利得償還請求権を取得することになります。

また、添付により物の所有権が消滅すると、原則としてのその物の上に付いていた他の権利も消滅します。

  添付には、

①不動産の附合

②動産の附合

③混和

④加工――の4種類があります。

  ①の不動産の附合とは、不動産と動産が結合して分離・復旧が社会経済的に困難な場合を指します。不動産の附合はさらに、動産が独立性を失い、不動産の構成部分になってしまう強い附合と、動産が独立性をなお保持している弱い附合に分かれます。

不動産の附合は通常不動産所有者が、動産の所有権も取得しますが、弱い附合の場合に、権限による動産所有者の所有権留保が認められています。

  ②の動産の附合とは、所有者を異にする数個の動産が結合した場合です。この場合は主たる動産の所有権者が新所有権者となり、主従の区別がつかないときは、価格の割合で共有(後述)となります。

  ③の混和とは、物が混じり合って識別できない場合を言います。効果は動産の附合と同様です。

  ④の加工とは、他人の動産に加工して新たな物を作ることです。原料動産の所有者が加工物の所有権を取得しますが、加工により価値が著しく増したときは加工者が新たな所有権を取得します。

 

Ⅱ.物は共同で所有することができる

  私たちが実際に生活をしている場合には、共同で物を所有する場合が少なくありません。
こうした共有の形態は、民法上では

①共有

②合有

③総有――に分けられています。

民法62-2

1)共有

  共有とは、複数人がそれぞれ共同所有の割合としての持分を持って1つの物を所有することです。共有の場合は、自分の持分の譲渡は自由にできますし、分割請求もいつでもできます。共有の場合に、共有者の1人が持分権を放棄したり、相続人がいない共有者が死亡したときは、他の共有者の持分が増えます。このことを共有の弾力性と言います。

  各共有者は自己の持分についての処分などは自由なのですが、物全体についての行為には他の共有者との調整が必要です。
例えば、家屋の修繕などの保存行為は独断ででも行えますが、共有物の賃貸等の利用行為や、共有地の地ならし工事などのような改良行為は持分価格の過半数で決定します。また、共有物の売却や抵当権の設定などの共有物の変更は全員の同意が必要です。

  共有物全体の妨害排除請求や返還請求は保存行為として捉え単独でできるとされていますが、対外的な共有関係の主張や共有物全体の時効中断措置などは、共有者全員で行う必要があると解釈されています。

  共有者は、いつでも共有物の分割請求ができると先ほど述べましたが、共有者間で5年を限度として不分割特約を締結することは可能です。

  分割の方法は、協議で決まらないときは裁判による分割となります。また、原則として現物分割ですが、これが不可能なときや価値が非常に下がってしまう場合には、競売して代金を分けることになります。

 

2)合有、総有

  合有は、各共有者が持分を潜在的には有しているのですが、持分譲渡の自由や目的物の分割請求が否定されている共同所有形態です。
例を挙げると、組合などの財産に対する組合員の共同所有などがこれに該当します。

  総有は、各共同所有者の持分が、潜在的にさえ存在しておらず、持分処分や分割請求は問題にさえならない共同所有形態です。
例を挙げると、入会権(後に解説)や権利なき社団の所有関係が該当します。

 

3)建物区分所有

  最近、増えてきている共有の形に、分譲マンションなど1つの建物を複数人で個々に所有する場合があります。この関係は区分所有法が規定しています。

区分所有法は1つの建物を専有部分と共用部分に分け、専有部分に成立する所有権を区分所有権、共有部分は所有者全員の共有とすることで、集合住宅の法的規制を図っています。

ページ上部へ戻る