第47回 民法って何?

  さあ、今回からは一緒に民法を学んでいきましょう。とはいえ、1000条を超える条文をいきなり読んでいっても身につくものではありません。そこで、今回は民法の仕組みを大まかに頭の中に入れることを目標に、解説していきます。

過去問択一で選択肢を最後の2つから絞り切れないあなた!
重要条文を頭に叩きこもう!

 

Ⅰ.民法はサッカーのルールのようなもの

  サッカーの試合を行う場合に必要なのが、競技場と選手、ボール……。実はそういったもののほかに大切なものとして、ルールがありますよね。ルールがなければ、ゲームが成立しないのですから!

  サッカーのルールがプレーヤー相互の関係についてのルールなのに対して、民法は、日本で社会生活を行う上でのルールです。民法は難しいとよく言われますが、ルールと思って自分の分かりやすい言葉に置き換えていくとすんなり理解できることが多々あります。
例えば、今まで解説してきた憲法は国と私人間(競技運営者とプレーヤー)をしばる公法でしたが、民法は個人と個人(プレーヤーとプレーヤー)の関係を規律し、私法と呼ばれます。(括弧)の内容を見ると簡単そうに思えませんか?

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Ⅱ.民法は紛争の解決のためのルール

  私たちが普段生活する上では社会のルールをあまり意識しませんね。私たちがルールを意識するのは、何か紛争が起こった時です。何か紛争が起こった時に解決のためにルールが登場するわけです。

  こうした紛争の解決のために、民法が示す基準はその人が持っている権利です。つまり、誰がどのような権利を持っていて、その権利の邪魔をする相手方にはどのような権利があるのかを比べて、紛争の解決をするのが民法の目的です。

  そのため、民法は、①権利者の資格、②権利の内容、③権利の発生、消滅、移転、④権利の主張方法――についての規定がほとんどです。

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Ⅲ.民法のプレーヤーは自然人と法人

  再び民法をサッカーに例えると、サッカー場のピッチに立てるのは、プレーヤーです(審判を除くと)。ピッチに立つプレーヤーには、一定の出場資格が必要です。この出場資格を民法では、権利能力と呼んでいます。

  民法ではこの権利能力はすべての人(自然人)と法人に平等に与えられるものとしています。すべての人が権利能力を有するのは、平等の理念から当然と言えますが、民法では、社会において果たす団体の役割の重要性も考慮して、一定の団体にもプレーヤーの資格を与えています。

 

Ⅳ.大きく分けると財産上のルールと身分上のルール

  民法では、個人間のルールを①財産上のルールと②身分上のルール――に大きく分けています。財産上のルールは、財産的取引の関係や加害者の被害者に対する損害賠償の関係などを意味し、財産法と呼ばれています。一方、身分上のルールは、夫婦関係や親子関係などを中心とした、身分法と呼ばれています。

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  財産上の権利は、財産権と呼ばれ、土地の所有権などの物の支配を内容とする物権と、貸したお金を返してもらえるように他人に対して一定の行為を請求できる債権があり、どちらもそれ自体が財産的価値を有しています。ですから、財産権は他人に譲渡したり、担保に入れたりでき、また、相続の対象ともなるものなのです。

  一方、身分上の権利は、それ自体は財産的価値を持たず、他人への譲渡はできないし担保とならない、また、相続の対象にもならない権利です。

 

Ⅴ.財産権には「物権」と「債権」がある

  上記でも触れましたが、財産権には物権債権があります。物権とは、物を直接に支配する権利で、言い換えると人が物に対して持つことができる権利と言えます。
物の使用・収益・処分といった物に対する全権能を直接支配できる所有権がその代表ですが、権能の一部の支配をできる物権は制限物権と呼ばれます。物の使用収益権能を支配する用益物権や物の交換価値を支配する担保物権などがこれに当たります。

 一方、債権とは、債務者と呼ばれるある人に給付と言われるある内容を請求する権利のことです。多くは契約という行為によって発生します。債権は債務者の給付(債務)を目的とするので、給付の内容で物の引渡しを目的とする場合=与える債務と、目的としない場合=なす債務に分けます。そして、与える債務はさらに与える目的物が特定物かに分けます。

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Ⅵ.身分法には親族法と相続法がある

  身分法では、その内容の権利が移転を予定していないので、ルールは財産法に比べてゲーム性がないと言えます。身分法は、昔から発展してきた社会の慣習や、習俗を尊重してルール作りを行っています。

  身分法は親族法相続法に分かれますが、親族法における身分上の権利は、変動要因よりも権利の前提となる一定の親族関係の発生、消滅についての規定がほとんどです。

  一方、相続は、死亡による権利義務関係の移転です。民法は相続法において、一定範囲の親族に相続人の資格を与えています。

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