第36回 国会の活動とは

  今回は国会の活動についてです。
①国会の会期、②参議院の緊急集会、③定足数と表決数、④会議公開の原則――を学んでいきます。○日や、△分の●以上などの数字が多く出てきて紛らわしいのですが、行政書士試験では、その数字の内容まで踏み込んだ質問が出ます。しっかり、覚えてください。

憲法36-1

Ⅰ.国会の会期

1)常会

憲法36-2

  憲法52条はいわゆる通常国会又は常会の規定です。議会が一定の限られた期間だけ活動能力を持つとする制度を会期制と言います。これに対して、議会を構成する議員の任期が続く間は常時、議会が活動能力を持つ制度は常設制と言います。

  憲法は、国会が会期制、常設制のいずれを採用しているか明言していませんが、52条で通常国会について定めたほか、続く53条・54条で臨時会と特別会を規定していることから、憲法は会期制を前提としていると理解され、国会法もその前提で制定されています。

  国会の活動には、

①会期不継続の原則

②一時不再議の原則――があります。

  会期不継続の原則とは、国会は会期ごとに活動能力を持ち、ある会期中に議決に至らなかった案件については、その後に開かれた会期には継続しないという原則です。憲法では、このことを明言していませんので、国会の自主的な判断に委ねられていると理解されています。
しかし、現行の国会法には、68条に会期不継続の原則の採用が規定されています。

  もう一方の一時不再議の原則とは、ある議院が議決した案件については、同じ会期中に同じ議院においては再度審議する対象としないという原則です。この原則は、憲法にも国会法にも明記されていません。
しかし、一旦議決された案件を再度蒸し返すことが可能であるとすると、反対意見の議員がいればいつまでたっても重要な案件に結論が出ないことになり、国民の不利益につながります。そこで、一時不再議の原則は、国会の活動が正常であるためには当然に認められる原則と考えられています。

  前回の衆議院の優越で覚えた、衆議院で可決→参議院で否決→衆議院で再議決の場合は、この原則の例外です。

  ところで、憲法は、国会の活動形態を、①常会(52条)、②臨時会(53条)、③特別会(54条)――の3種類規定しています。52条の常会は、毎年1回召集することが定められていますが、いつ開かれるか、会期は何日にするかは国会の判断に委ねられています。
ただし、国会法で、①召集は1月中、②会期は150日、③両議院一致の議決があれば1回に限って会期の延長が認められる――と定められています。

 

2)臨時会

憲法36-3

  臨時会は、毎年1回、定期的に開催される国会である前述の常会と異なり、必要に応じて臨時に開催される国会です。

  臨時会が開催される場合には、次の3通りがあります。

①内閣が必要としたとき(53条の前段)

②衆参どちらかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったとき(53条後段)

  そして、国会法に規定される

③衆議院議員の任期満了による総選挙か、参議院議員の通常選挙が行われ、新しい議員の任期が始まる日から30日以内

ここでは、③の場合を見落とすことが多いので、注意してください。

  さらに国会法によれば、臨時会の会期は、召集日に両議院の一致で決定することになっています。また、両議院一致の議決で、2回まで会期の延長ができることになっています。

  必要に応じて臨時に開かれるものであることから、常会に比べて柔軟性が確保されています。

 

3)特別会

憲法36-4

  54条1項の規定は、衆議院が解散された場合、解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、さらに総選挙の日から30日以内に国会が召集されることを謳っています。この国会のことを特別会と言います。

  特別会の会期とその延長は臨時会と同じ扱いが国会法に規定され、会期は召集の日に両議院一致の議決により決定し、会期は2回まで延長できます。

  なお、特別会の召集の時期が常会と重なる場合には、特別会と常会を合わせて召集することができると理解されています。

 

Ⅱ.参議院の緊急集会

  54条の2項・3項は、参議院の緊急集会についての規定です。参議院の緊急集会は、次の3つの要件が満たされた場合に開催されます。

①衆議院が解散によって存在しない

②衆議院総選挙後の特別会を待てないくらい緊急の必要がある

③内閣の求めがある

  ここでは、③の場合が臨時会と異なり、議院(参議院)の方から求めることはできないことに注意してください。

  緊急集会は国会そのものではありません。そこで、緊急集会で採決された事項は、あくまで臨時のものですので、次の国会の開会後10日以内に衆議院の同意がなければ、将来に向かって効力を失います。将来に向かってとは、過去に遡らないでという意味です。つまり、緊急集会の採決後から特別国会衆議院の採決までは有効ということです。

 

 

Ⅲ.定足数と表決数

憲法36-5

  定足数とは、ある会議体において、議事を開き審理を行って議決をするために必要とされる最小限度の出席者数のことです。国会の定足数は、各議院の総議員の3分の1です。

  ここでいう総議員とは、法定議員(公職選挙法で定められた議員)の総数を指します。

  一方、表決数とは、ある会議体において、意思決定を行うために必要な賛成表決(票)の数のことです。国会の表決数は、憲法に特別の定のある場合を除いて出席議員の過半数です。ここでいう出席議員には、棄権者や白票・無効票を投じた者も含みます。賛否同数の場合は、議長の決で決定します。

  また、憲法に特別な定のある場合を、下表にまとめました。しっかり覚えましょう。

憲法36-6

 

Ⅳ.会議公開の原則

憲法36-7

  57条1項で規定されているとおり、国会の会議は、公開される、つまり、一般国民や報道機関の自由な傍聴を許すのが原則です。これは、①民主主義国家においては議員は国民の代表者である、②国民の知る権利のため――などから当然の原則です。

  また、出席議員の3分の2以上の多数の議決で例外的に秘密会の開催を認めていますが、現在のところ秘密会が開かれたことはありません。
ただし、国会法により本会議と異なり、委員会は非公開が原則で、例外的に議員や報道機関関係者などで委員長の許可を得た者のみが傍聴できることになっています。また、両院協議会はその性質上秘密会とされ、傍聴は許されません。

  57条2項により、国会の会議の議事録は、保存・公表・頒布が義務付けられ、これも広い意味での会議の公開と言えます。ただし、秘密会の会議録中の特に秘密を要するものについては、保存のみで、公表・頒布の必要はないとされています。

  また、57条3項では、出席議員の5分の1以上の要求で、各議員の表決が会議録に残ります。通常の表決は無記名ですが、この場合は記名式で行われます。

 

  今回解説した内容は、解釈するのに難しい内容ではないものの、同じような言い回しで少しずつ異なる内容を覚えるのが大変です。
下記に、覚えるためのヒントをまとめましたので、利用してください。

憲法36-8

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