第33回 法人にも人権はあるの?

  人権は生まれながらに当然持っている権利ですから、本来は、人権は、生物学的な人間(自然人)に認められた権利です。しかし、民法では会社や財団などの法人にも権利の主体となることを認めています。

そこで、憲法でも人権を性質上可能な限り認めることにしています。性質上可能な限りというのは、例えば、人身の自由などは認めたくても認められませんね。そういう人権を除いて認めているのです。

  法人の人権で、保障される人権と保障されない人権は次のとおりです。

     【保障される人権】 ①精神的自由権

                  ②経済的自由権

                  ③刑事手続上の諸権利

                  ④受益権

     【保障されない人権】①選挙権

                  ②社会権

                  ③人身の自由

  一方、法人に人権を保障することの意味は、究極的には個人の尊厳の実現につながることにあるわけですから、法人の人権保障がかえって個人の人権の侵害にならないように、特に法人を構成する個人の人権が不当に圧迫されないように慎重に検討する必要があると言えます。

  まず、次の判例を見てください。法人に政治献金をする自由が保障されるかが問われた「八幡製鉄政治献金事件」です。

憲法33-1

  判例では、憲法の人権規定はその性質上可能な限り内国法人にも適用されることを明らかにしています。さらに、政党が議会制民主主義を支える上で、不可欠の存在であることを認めている点も注目してください。

  また、「南九州税理士会政治献金事件」を見てみましょう。

憲法33-2

  こちらの判例では、税理士会が特定の政党に政治献金を行うことは、税理士会の目的外の行為ということで、献金行為を無効としています。

  つまり、2つの事件を比べてみると、1企業としての政治献金は、収益をあげるという会社の目的にとって有効であるから認められ、会員同士の連携を図ったり会員相互のレベルアップが目的の特定な職業人の集まりである会にとっては、政治献金は有効とは言えないので、認められない――ということになります。

  税理士会と同じような会の司法書士会が、政治献金ではなく災害復興支援のために募金を募ったことがありました。この場合の集金は違憲となるのでしょうか。「群馬県司法書士会事件」をご覧ください。

憲法33-3

   南九州税理士会事件では違憲だった寄付行為ですが、目的が復興支援金となった群馬司法書士会事件では合憲となりました。

 以上の3つの事件を下記に一つの表でまとめます。

憲法33-4

ページ上部へ戻る