第9回 天皇の仕事とは

  第8回では、天皇の地位などを学習しましたが、今回は、天皇の仕事についてお話ししていきます。天皇の仕事を法律用語で国事行為といいます。

行政書士講座

国事行為についての規定には、任命、認証、公布、公示など、紛らわしい言葉が出てきます。行政書士試験にも時々取り上げられる内容なので、きちんと整理して覚えるようにしましょう。

  まずは手始めに、憲法6条に2個、7条に10個、合計12個の天皇の国事行為から覚えていきましょう。

憲法9-1

  日本国憲法6条には、天皇の国事行為のうち、天皇が任命を行う2つの行為が規定されています。

それは、内閣総理大臣の任命最高裁判所長官の任命です。

  これは、言い換えれば、天皇は「行政権のトップである内閣総理大臣と、司法権のトップである最高裁判所長官しか任命しない」ということです。こうして2つの文をまとめると覚えやすいですね。

  さらにこれをもう一つの観点から見てみましょう。天皇には、象徴的な立場しかないことは前回お話ししましたが、6条では内閣総理大臣は国会の指名、最高裁判所長官は内閣の指名によるものとして天皇の非政治的存在を強調しています。

  さらに、ここには、行政のトップは行政以外の機関で、司法のトップは司法以外の機関でという、三権分立の観点も取り入れられているのです。

  たった2行の条文から、これだけ多くのことが読み取れます。「ちょっと面白いな」っと、感じていいただけたでしょうか? 

 

  さて、次の7条は、ちょっと大変ですが、10個の国事行為を覚えてください。

ここでも、天皇の非政治的存在が強調され、立法、行政、司法のいずれもが対等であるがゆえに、天皇にその行為を行わせているということも読み取れてくると思います。前者のキーワードは「内閣の助言と承認により」です。後者については、例えば、内閣が法令を公布したり、国会を召集したりしたら、内閣が立法権に立ち入ることになってしまいますね。つまり、ここでも、三権分立が守られているのです。

  ところで、7条は分かりにくい用語がたくさん出てきます。下に用語の解説を求めましたので、頑張って7条を覚えましょうね。

憲法9-2

  また、8条は、皇室の財産管理について規定しています。

皇室へ財産が集中することや、皇室が特定の個人と金銭授受を介して特別な関係を持ち、不当な支配力を持つことを防ぐために、皇室財産の授受には国会の議決が必要とする点に注意しましょう。

国会の議決ということから、何が分かりますか?

国民を代表する議員による議決ということが分かりますね。ここには、国民主権の考えがあるのです。

皇室の財産授受に関する国会の議決には衆議院の優越は認められていませんが、皇室の費用に関する国会の議決には、衆議院の優越が認められます。衆議院の優越については、のちに「衆議院優越の仕組み」という項で学びます。

ここでは、皇室の財産授受と皇室の費用では、取り扱いが違うと覚えてください。

ちなみに、皇室の財産については、憲法第88条に規定されています。

憲法9-3

 

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