第8回 天皇とは、どんな存在?

  この回から2回に分けて、日本国憲法第1条~第8条にかけて規定されている天皇制について、お話ししたいと思います。

  日本国憲法は、第1条で国民を主権者とし、天皇は象徴であるとしています。

象徴とは、目や耳などで直接知覚できない意味や価値など抽象的なものを、何らかの類似によって具象化したもので、シンボルと言い換えていいでしょう。

  明治憲法(大日本帝国憲法)下では、天皇は象徴としての地位ばかりでなく、国政に関する最終的な決定権限も持っていましたが、現行憲法の日本国憲法では、国政に関する権能はなく、象徴としての地位のみが規定されています。

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  日本国憲法第2条に規定されている天皇の世襲制は、国民の意思と関係なく天皇の血縁者に皇位を継承させる制度ですから、民主主義の理念や憲法第14条第1項に定める平等原則に反すると言えます。でも、天皇制を維持することが困難にならないよう、例外的に世襲制を規定しています。

第2条のポイントは、平等の原則に反して天皇の世襲制を認めていることと、その理由として天皇制を維持するためという2点です。

また、女子の皇位継承を禁じていない点も注目したいところです。

 

  日本国憲法の第3条から第8条では、天皇の権能について定めています。天皇の国事行為について内閣の助言と承認を必要とすることで、その行為に対する責任を内閣に負わせ、天皇が政治とは離れた存在であることを強調するために、国政に関する権能がないことを明記していると言えます。

天皇の国事行為とは、いずれも形式的で儀礼的な行為で、第6条、第7条に規定されています。天皇の国事行為については、試験でもよく出題されるポイントですので、次回、しっかりと取り上げたいと思います。

  さて、第4条第2項には、天皇が海外旅行や病気で一時的に国事行為を行えない場合の臨時代行の制度が規定されています。臨時代行の制度は天皇の行為を一時的に代わって行うものですが、第5条では、天皇が成年に達しない場合や、精神・身体に不治の重い疾患があったり、重大な事故などで長期に渡り国事行為を行えないと判断されたときには、天皇の権能を摂政が代行することの規定がなされています。

  ここでの注目ポイントは、摂政は、天皇の名で国事行為を行うという点です。

憲法8-2

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