第7回 憲法を学ぶにあたって

  憲法の概念が分かったところで、今回から憲法を①天皇、②人権、③統治機構――に分けて学んでいきます。

行政書士講座

過去の行政書士試験での憲法の分野からの出題は、約1割程度…と、決して多いとは言えませんが、特に人権に関しては毎年必ず出題されますので、しっかりとステップを踏んで学習を進めていきましょう。

憲法7-1

 

 

  まず、各テーマの勉強のポイントを解説します。

 

Ⅰ.天皇

  天皇に関する設問は、平成18年以後出題されていません。逆に考えると、そろそろ出題?とも考えられます。天皇の地位と国事行為については、しっかりと覚えてほしい項目です。

 

Ⅱ.人権

  人権分野の設問は、オーソドックスな設問がほとんどです。オーソドックスな設問とは、次のようなパターンです。

「~に関する次の1~5の記述のうち、最高裁判所の判例によれば正しいものはどれか。」という形式で、5者択一などをする問題です。

  このような問題に対応するのに必要なのは、判例の読解を心がけることです。

判例とは、裁判で決定された判決例です。ここからは少し余談になりますが、例えば、この講座で「最判平18.2.7」と書かれていれば、「平成18年2月7日の最高裁判所での判決」と考えてください。それでは、「最大判昭35.6.8」とか書かれていたらどう解しますか? 

  答えは、「昭和35年6月8日の最高裁判所大法廷での判決」と解すればいいのです。

大法廷とは、特に重要な事件について15名の最高裁判所裁判官全員で行われる法廷で、年平均3回ほどの開廷です。「これは、重要な事件で、重要な判決なんだ!」と思えばいいのです。

  さて、実際に判決の内容を読むと何だか難しい言葉が並んでいて、分かりにくいと感じると思います。行政書士試験合格のためには、判例の事案や争点、判旨の概要などを覚えなくてはなりません。でも、よく分からない難しい言葉を丸暗記するのは、時間もかかりますし、応用力も身につかないので、効率的な勉強とは言えません。

そこで大切なのは、判例を読むときは、書かれている事件をイメージすることです。イメージするといっても、刑事事件ではあるまいし、よく分かりませんね。

  具体的に言うと、事案を読んで、

①憲法上の規定に対して何が問題になっているのか。

②法律や行政処分、裁判所の命令などによる制約は妥当か。

と考えてみるのです。

①は、言い換えれば、誰のどんな人権が侵されているのかと考えてみることで、②は、法律や国家権力による処分・命令が行き過ぎた制約を与えていないか、また、制約の必要があるのかを考えてみることです。

そして、

③自分の判断が、判例にかかれている判旨と同じだったか。

を確認します。つまり、事案が「合憲」だったか「違憲」だったかを覚える必要があるのです。

  この作業を通して、行政書士試験で未知の判例に遭遇した時に、今まで読み解いた判例から正答を導き出すことが可能になるというわけです。

この講座でも、重要な判例をいくつか取り入れて、判例を読むことに慣れていけるようにしたいと思っています。

 

Ⅲ.統治機構

  行政書士試験での統治機構分野では、何と言っても国会・内閣・裁判所が最重要ポイントです。また、条文知識を直接問う問題が多いので、条文の暗記が不可欠です。

 もちろん、一字一句丸暗記しろと言っているわけではなく、キーポイントの語句をしっかり把握することが大切なのです。

憲法7-2

  また、条文を読み解くときに、文字そのままを理解するとともに、その裏も読めるようになると、得点が伸びると思います。

例えば、憲法第55条を見てみましょう。

「両議院は、各々その議員の資格に関する争訴を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。」と規定されています。

これは、文字通り読むだけなら、「議員仲間に不祥事などがあったら、議員資格の有無について自分たちで決めていい」ということです。しかし、一歩進んで読み解くと、「本来裁判所だけにある司法権の行使を立法機関である議院に負わせている」ということになります。

それを前提に、「我が国の司法権はすべて裁判所のみに有する」は、○か×かと問われたら、どう答えますか? 

この問では、「すべて」「のみに」が重要ポイントです。

  読み解くポイントのもう一つに、「なぜ?」と言う観点も必要と言えます。例の第55条では、「議院の自律性を尊重したから、資格争訴裁判権を議院に持たせた」と言えるのですが、この講座では、こういった条文のもう一方の見方もポイントとして押さえられるよう、学習を進めたいと思っています。

 

  次回から、いよいよ始まる条文の解釈についての学習の取り組み方が分かりましたか?

回を重ねながら自然と身に付けられることを、目標に進めていこうと思っていますが、もし、何を学ぼうとしているのかが分からなくなったら、ぜひ、この回に立ち戻って、読み直してください。

行政書士講座

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